ブルックリン美術館 女性コメディアンがキュレートしたピカソ特別展 パブロマティック It’s Pablo-matic

今年2023年は、世界中で知られている近代アートの巨匠、パブロ・ピカソの没後50周年に当たり、様々な美術館で、ピカソの特別展が行われています。最近では、#MeToo ムーブメントの高まりもあり、女性蔑視などピカソの人間性の側面に批判が集まることも多くなっていますが、そんな中、ブルックリン美術館では、一風変わったフェミニストの女性コメディアンのキュレーションによる特別展、It’s Pablo-matic が行われています。ピカソの作品に加え、様々な女性アーティストの作品が、ユーモアを持って展示されています。

ブルックリン美術館では、今年2023年で没後50周年目を迎えたパブロ・ピカソの特別展、It’s Pablo-matic が開催されています。ピカソと言えば、スペイン出身でフランスで活躍した20世紀で最も有名な近代アーティストです。抽象アートなど後の近代アートの方向性に大きな影響を与えたキュビスムの創始者の一人として知られています。

こちらは、ピカソが大々的に特集された、著名雑誌 Life の1968年12月27日号の表紙です。
まるで、ピカソが牢獄に入れられてしまった?って一瞬思ってしまった絵なのですが、ジョークがテーマの今回の展示らしい作品です。

ピカソは、2度の結婚の他、多くの愛人もいて、その時、自分が恋している様々な女性を描いた作品を数多く残しています。女性好きなことは明白ですが、同時に女性蔑視的な発言や行動も多かったようで、最近では、そんなピカソの人間性に、より批判の目が向けられるようになって来ています。
そんな背景の中、ブルックリン美術館では、Problematic をもじって、オーストラリア人女性コメディアン、Hannah Gadsby さんが共同でキュレートした一風変わったピカソの女性に関わる人物像に目を向けた特別展が行われています。ブルックリン美術館や MoMA 所蔵の作品数点及び主に パリの国立ピカソ美術館 からやって来ている、ピカソの1930年代の作品に加え、女性アーティストの作品も数多く展示されています。

Hannah Gadsby さんは、ネットフリックスでも配信された、Nanette (Trailer) などで知られているフェミニストで、ギャラリーでは、TED Talk が放映されています。

ピカソの特別展の会場となっているのは、1階のギャラリーです。今回の特別展では、ピカソがすっかり一流のアーティストとしての立場を確立し、愛人やミノタウロスをよく描いていた、ピカソが50代だった1930年代の作品が中心になっています。

ギャラリーに入ると、まず登場する作品が、パリの国立ピカソ美術館からやって来ている、彫刻家 (The Sculpter) です。1931年に描かれたシューレアリスムの作品で、ピカソらしきアーティストが、愛人だった Marie-Thérèse Walter を淡い色使いで描いています。Marie-Thérèse Walter は、1927年から1935年頃までピカソの愛人だった女性で、出会った時は、ピカソは45歳で結婚していて、Marie-Thérèse Walter は 17歳だったそうです。

ピカソが、1930年代に女性と共によく描いたのがギリシア神話に登場する半人半牛の怪物、ミノタウロスです。ミノタウロスは、1920年代頃から隆盛となったシューレアリスムでは、強力な変革者のシンボルとして描かれていることが多いですが、ピカソは、抑えきれない衝動的な欲望を持った自身の別人格、オルターエゴとして描いていたようです。

こちらは、ピカソが1935年に描いた MoMA 所蔵の作品、Minotauromachy。よく見てみると、たしかに不気味な作品です。

女性が無邪気に寝転がっている姿を描いた作品。そしてそんな姿を見つめるピカソの存在が感じられる作品です。

ピカソの作品以外にもブルックリン美術館所蔵の数多くの女性アーティストの多様な作品が展示されています。

ピカソの作品には、1930年代中頃からは、新たに愛人となった Dora Maar が登場しはじめます。
1930年代後半には、代表作のゲルニカをはじめスペイン内戦をテーマとした作品を多く描いていますが、なぜかそんな作品に登場するのは、悲しい表情をした Dora Maar です。
こちらは、哀願する女性という戦争のシンボル的な情景を描いた1937年の作品、The Supplicant Woman。

Dora Maar をモデルにした泣いている女性の作品もいくつか残していますが、中央の絵もそんな作品の一つです。ピカソと Dora Maar の関係は、1940年代前半頃まで続きました。左の作品は、1942年に描かれた、ブルックリン美術館所蔵の Dora Maar を描いた Woman in Grey。
右側のコミカルな絵画は、寝ている女性を描いた1927年の作品、Sleeping Woman です。ピカソは自分の身の回りの気になっている女性が、創作意欲の源泉の一つだったことは間違いないと思います。

展示の後半は、ピカソ以外の女性アーティストのシューレアリスム的な作品が中心となっています。
こちらは、ベトナム戦争への反戦のメッセージが込められている、May Stevens が描いた1970年の作品、Big Daddy Paper Doll。

絵画、彫刻、写真、映像など様々な媒体の作品が展示されています。

自由の女神を彷彿とさせる絵画など女性アーティストによる女性をテーマとした作品が数多く展示されています。

ピカソの作品に関するアカデミックな展示を期待している人には向きませんが、フェミニズム、アーティストの人間性などアートを多角的に見てみたいという人には面白い特別展になっています。今回の特別展は、今週末の9月24日までの開催なので、見てみたいという人は急ぎましょう。

今回多くのピカソの作品がやって来ていたパリの国立ピカソ美術館の様子はこちらです。

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ブルックリン美術館の基本情報は、こちらです。

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ブルックリン美術館 女性コメディアンがキュレートしたピカソ特別展 パブロマティック It’s Pablo-matic was last modified: 9月 21st, 2023 by mikissh