アメリカ、そして世界における新型コロナウイルス危機の中心となり、連日、多くの犠牲者を出しているニューヨークでは、これまで4月30日までの予定だった、不要な外出を禁止し、自宅待機とする New York on PAUSE が、5月15日まで延長されることになりました。一方、アメリカ全体に関しては、今日の夕方、大統領により、アメリカ経済再開のガイドラインが発表されました。
ソーシャルディスタンシングのおかげで、今のところはウイルスの封じ込めが可能となっていますが、経済的にはこの状態をいつまでも続けていくわけにはいきません。その再開が難しいところなのですが、また急激に感染者が増えたり、医療キャパシティの限界に達するようなことが起こらないようにしながら、少しづつ通常に近い形の生活を再スタートしていくためのガイドラインが発表されました。
ヨーロッパでも、新型コロナウイルスで多くの犠牲者を出しましたが、現在、少し落ち着きを取り戻してきている、イタリアやスペイン、比較的犠牲者の少なかったドイツ、オーストリア、デンマークなどは、経済再開に向けて少しづつ動き出しているようです。また、現在、危機の真最中であるフランスやイギリスでは、ロックダウンが5月以降へと延長する発表がされています。
アメリカでも地域によって感染の危機具合にバラつきがありますが、やはり一番の中心地となっているのが、NYC周辺です。少し落ち着きつつありますが、いまだに医療キャパシティが限界に近い状態が続いており、今日、ニューヨーク州知事が、New York on PAUSE を5月15日まで延長することを発表しました。今日からさらにもう1か月の自宅待機です！
ニューヨーク州とその周辺の7州は、連携しての再開の調整をしているため、アメリカ北東部では、正常化の第一歩は、早くても一か月後の5月15日以降となります。
New York on PAUSE will be extended in coordination with other states to May 15.
Non-essential workers must continue to stay home.
Social distancing rules remain in place.
We must STAY THE COURSE.
— Andrew Cuomo (@NYGovCuomo) April 16, 2020
ニューヨークは、現在、少し安定してきましたが、これまでの経緯は、こちらです。
今日の夕方、トランプ大統領により、“OPENING UP AMERICA AGAIN” と名付けられた、経済正常化に向けた新ガイドラインが発表されました。
基本的には、3つのステージに分け、リバウンドなどの反応を見ながら、正常化に向け段階的なステップで元の生活に戻れるようにしていきます。
その第一ステップに進むための指標として、インフルエンザのような症状を示す患者の推移、新型コロナウイルスの感染者数の推移、医療キャパシティの状態など、正常化ステップに進むための様々な条件が示されました。アメリカでは、新型コロナウイルスの感染が広く知られるようになる前、つまり検査体制が確立される前から、インフルエンザのような症状の患者さんが激増していたようです。CDC では、そんな患者数の動向をトラック (Weekly U.S. Influenza Surveillance Report) しており、新型コロナウイルスの感染者の先行指標として使用できると考えているようです。
4月30日までは、全米で、現在のソーシャルディスタンシングの ガイドライン(PDF) が継続しており、基本的には新ガイドラインは、5月1日からを想定しているようですが、その判断は、それぞれの州に任されており、条件を満たしている州であれば、明日からでも正常化に向けたステップを踏み出すのも可能とのことです。
より自信を持って、正常化を進めていくのに大切なのが検査となりますが、様々なものが登場してきています。以前、紹介した5-15分程で結果が出る検査法を開発したAbbott Labs は、医療機関以外で使用可能な一般向けの抗体検査も開発中で、新たな抗体検査も色々と承認されてきています。また、唾液による検査法も登場し、FDAにより、今回の新型コロナウイルス用に承認 (Emergency Use Authorization) されています。今日は、Gilead の Remdesivir に関する期待が持てるニュースも出ていましたが、様々な薬に関するクリニカルトライアルが行われています。
アメリカのこれまでの経緯はこちらです。
ニューヨークでは、自宅待機がこれからあと一か月もさらに続きますが、がんばって乗り越えていきましょう。
