カンディンスキー展 グッゲンハイム美術館 20世紀抽象絵画を代表するアーティスト Vasily Kandinsky 特別展

ニューヨークのアッパーイーストサイドにある人気ミュージアム、グッゲンハイム美術館では、ワシリー・カンディンスキー (Vasily Kandinsky) の企画展、Vasily Kandinsky: Around the Circle が開催されています。グッゲンハイムと言えば、素晴らしい抽象アートのコレクションを誇る美術館として知られていて、20世紀前半に活躍した、抽象絵画の創始者とされるアーティスト、カンディンスキーのコレクションも、コンポジション8 (Composition VIII) をはじめ数多くの著名作品を所有しており、そんな作品の数々が、フランク・ロイド・ライトがデザインした美術館の象徴となっている螺旋状のギャラリーにずらりと展示されています。

グッゲンハイム美術館は、アメリカの著名建築家、フランク・ロイド・ライトがデザインした個性的な建物で知られる、ニューヨークのアッパーイーストサイドにある人気ミュージアムです。グッゲンハイム美術館の建築は、2019年に、フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群の一つとして、世界文化遺産に指定されました。そんな建築と合わせて、素晴らしい近現代アート作品のコレクションを誇るおすすめの美術館となっています。

グッゲンハイム美術館で、現在行われている展示は、10月8日にはじまったばかりの二つの個展です。

一つ目は、螺旋ギャラリーの上階で行われている、20世紀初頭に誕生した抽象アートの創始者の一人とされる、ワシリー・カンディンスキー (Vasily Kandinsky) の企画展、Vasily Kandinsky: Around the Circle です。とても人気のある展示で、ほとんどの人は、このカンディンスキーの特別展を目的にやってきています。

二つ目は、螺旋ギャラリーの下階で行われている、詩的な作風が印象的な Etel Adnan: Light’s New Measure の展示です。

この他、螺旋ギャラリーから横に抜けたところにある、常設展ギャラリーでは、ピカソやゴッホらポスト印象派の著名アーティストの作品が見られます。定期的に作品が入れ替わっているので、何度も訪れている人でも今回はじめて見る絵画もあると思います。

ワシリー・カンディンスキー (Vasily Kandinsky) は、1866年生まれのロシア出身のアーティストで、後に、ドイツやフランスで活躍し、ピート・モンドリアン (Piet Mondrian) と並んで、20世紀に隆盛を誇った抽象アートの創始者として知られています。特に、ヨーロッパやロシアで人気のアーティストということもあり、ギャラリーでは、ヨーロッパ系の人々の言語がよく聞こえて来ました。

抽象アートの素晴らしいコレクションで知られるグッゲンハイム美術館は、数多くのカンディンスキーの作品を所有していますが、中でも有名なカンディンスキーの作品が、1923年の作品、コンポジション8 (Composition VIII) です。様々な幾何学模様と色を組み合わせただけの完全に抽象的な作品で、それまでのアーティストたちは具体的なものばかりを描いて来ていたので、カンディンスキーによって、それまでの絵画の概念が大きく覆されました。

今回のグッゲンハイム美術館のカンディンスキー展では、カンディンスキーの生涯に渡る作品の数々が展示されています。カンディンスキーは、ロシアで生まれ育ちましたが、1902年、ドイツの美術学校に通い、その後、ヨーロッパ内を転々としながら、ドイツを拠点に制作活動を続けます。1910年頃までは、当時の流行である、点描やフォーヴィスムに影響を受けながら、具体的な対象を描いていましたが、その後、抽象アートへと移行していきます。

左側は、牧草地を描いた 1911年の作品、Pastrale。右側は、雨の日の風景を描いた 1913年の作品、Landscape with rain です。この頃は、だいぶ抽象的になりつつありますが、まだ具象が登場し、シャガールやフランツ・マルクを彷彿とさせる雰囲気です。

そして、こちらは、完全に抽象に変貌を遂げた感じの1913年の作品、Light Picture & Black Lines。まるで音楽が奏でられているような雰囲気の抽象絵画です。

1914年から1921年にかけては、ロシアに戻り暮らしていました。1917年に起こったロシア革命を経て、ロシアが大きく変わる中、アートの方向性が合わず、再びドイツに戻り、その後のモダニズムに大きな影響を与えたドイツの学校、バウハウスで教鞭を取りながら制作を続けます。以前、ジューイッシュミュージアムの ロシア・アバンギャルドをテーマにした特別展 で、シャガールが紹介されていましたが、シャガールも同じ頃にロシアを脱し、フランスに移っています。
こちらは、1921年の作品、White Center。

カンディンスキーは、その後、洗練された雰囲気の抽象アートの作品を数多く生みだしていきます。こちらは、1921年の作品、Circles on Black と、1922年に描かれた、Blue Circle。題名がほとんど意味をなさない抽象アートの世界です。

今回の展示のタイトルにもなっているサークルは、カンディンスキーの作品によく描かれるモチーフです。そんなサークルが最も多く描かれているのが、1926年に制作された、サークルのみの作品、Several Circles です。

カンディンスキーの特別展では、女性が多く、熱心に鑑賞している人も多かったです。こちらは、1932年の作品、Decisive Rose。

ナチスの台頭により、1933年、バウハウスが解散し、カンディンスキーは、フランスに移ります。そんな生活面での変化が作品にも表れ、それ以降の作品は、生き物のような存在が描かれたり、暖かい雰囲気の作品になっていきます。
こちらは、1934年の作品、Blue World。

1934年に描かれた作品、Striped。

右側は、1935年に描かれた、Violet-Orange。左側は、1938年の作品、The Yellow Camvas。

こちらは、亡くなる数年前に描かれた1940年の作品、Around the Circle。明るい色使いに変化しています。カンディンスキーは、その後、1944年に亡くなりました。

カンディンスキーの作品は、パリのポンピドゥーセンターでも充実しています。

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螺旋ギャラリーの下階では、詩的な雰囲気のカンディンスキーの作品と合わせ、レバノン出身のアメリカ人女性アーティスト、Etel Adnan さんの作品が展示されています。

Etel Adnan さんは、詩人で、絵画も描き、その作風も、色と形だけの表現で、詩的なものになっています。

螺旋ギャラリーの最上部周辺には、映像作品が上映されていたり、休憩できるスペースが用意されています。

ニューヨークの他のミュージアム同様、昨年は、長期間閉鎖されていましたが、ちょうど一年前の10月に再開し、今年の前半は、いつもとは少し違う雰囲気で 映像展示 が行われていました。

グッゲンハイム美術館では、今週の土曜日、10月23日に ブロックパーティ が開催されます。当日は、入館無料となるので、こんな機会に訪れてみるのもおすすめです。当日は、事前の時間指定予約のチケットが必須となり、明日10月21日午前11時にチケットがリリースされます。予約時間になったら、こちら のページに申し込みリンクが現れます。
他のミュージアム同様、入館時に、ワクチン証明アプリ、ワクチンカード(+ID) のチェックが行われます。

グッゲンハイム美術館の基本情報は、こちらです。

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