ニューヨークとその周辺には、数多くの素敵な美術館がありますが、特にユニークで人気があるミュージアムの一つが、ニューヨークの郊外にある屋外美術館、ストームキングアートセンター (Storm King Art Center) です。緑豊かな広大なミュージアムで、アートの鑑賞だけでなく、ハイキングやサイクリング、ピクニックなども楽しめるミュージアムで、ニューヨークシティ (NYC) からも近く、春から秋にかけて、ニューヨークから手軽に遊びに行けるおすすめのスポットです。大自然の美しい景観の中に、カラフルで楽しいトリックアートのような面白い作品などがあちらこちらに見られる、楽しいミュージアムです。
ストームキングアートセンター
ストームキングアートセンター (Storm King Art Center) は、ニューヨークから車で北へ1時間程行った、ハドソンバレーにあります。先日、紹介した Dia:Beacon や、人気のプレミアムアウトレット、ウッドベリーコモン からも車で20分ほどの近くにあり、合わせてニューヨークシティ (NYC) から日帰りや一泊二日の小旅行などにもおすすめのロケーションです。
ストームキングアートセンター 営業時間
水曜日–月曜日 10am–5:30pm
定休日:火曜日、サンクスギビングデー(11月第4木曜日)
(シーズンによって変更があるのでホームページを要確認)
ストームキングアートセンター 入場料
車 (1 人) $20 (ピーク・週末:$25)
車 (2 人) $40
車 (3 人) $55
車 (4 人) $70
車 (5 人) $85
車 (6 人) $100
(5歳未満は入場料無料)
通常、入場料は、ストームキングに車で入場する時に支払っていましたが、今はオンラインでの事前予約制となっていて、こちら からチケットを事前購入するようになっています。
ストームキングアートセンターは、もともとは、1960年に、トーマス・コール などで知られるハドソンリバー派の絵画作品の美術館として設立されたようですが、現在では、現代彫刻で有名な屋外ミュージアムとなっています。広大な敷地の中央には、小高い丘があり、その丘の上には小さな美術館とミュージアムショップがあります。
ストームキングアートセンターの見どころとしては、見学の中心となるのが、500エーカー (約2 km²) の広大な敷地に点在するカラフルな現代彫刻作品です。この広くて大きな敷地は、その地理的特徴から名付けられた、4つのエリアに分かれています。
①ミュージアムヒル (Museum Hill)
②メドウズ (Meadows)
③ノースウッズ (North Woods)
④サウスフィールド (South Field)
ストームキングアートセンターの中心となり、最も見どころが多いのが、美術館の建物がある丘周辺の ミュージアムヒル (Museum Hill) です。
夏でも日陰にいれば涼しいのですが、直射日光が当たると、かなり暑くなるので、ドリンクや日除け用グッズを用意していきましょう。
東、南、北の3ヵ所の駐車場から、指示された駐車場に駐車します。かなり広い屋外ミュージアムなので、ハイキングしたり、ピクニックしたり、のんびり丸一日過ごすつもりで来るのがおすすめですが、アート鑑賞に必要な見学所要時間は、最低でも3時間前後の時間を見ておくといいと思います。以下、エリア別に、著名アーティストや、有名作品をはじめ、印象に残っている作品を紹介します。
Museum Hill
ストームキングアートセンターで、一番見どころが集まっているのが、小高い丘の頂上に美術館の建物がある、ミュージアムヒル (Museum Hill) 周辺です。屋内の美術館では、コレクションからの作品の展示の他、期間限定の特別展も開催されています。
ストームキングアートセンターの最初の本格的なコレクションとなった、抽象表現主義の彫刻家、David Smith の作品群などが展示されています。
現在、グッゲンハイム美術館で開催中の 特別展 でも展示されている Louise Nevelson の1960年の作品、Royal Tide I。黒の作品が有名ですが、こちらは、珍しい黄金色で、ロイヤルな雰囲気です。
こちらはクモのオブジェで有名な Louise Bourgeois の1972年の作品、Number Seventy-Two (The No March)。円柱が、様々な角度で綺麗に切断された感じで、曲線が、何か生き物っぽい感じを彷彿とさせます。パリ出身で、ニューヨークで活躍したアーティストです。
そして、現在フィーチャーされているアーティストが、コンセプトアーティストの Mark Dion。MARK DION: FOLLIES と題された特別展では、様々な箱が詰まった小屋、レモネード屋さん、恐竜のフィギュアなどなど様々な面白いインストレーションアート作品が展示されています。
建物の中だけではなく、外にも、Mark Dion のケーキや、ゼリー、かき氷などを思い浮かべてしまう、可愛い美味しそうなガラス細工の作品が飾られています。あまりの可愛さに女の子も駆け寄ってきて夢中で見ていました。
小高い丘の上の美術館の前にある噴水ではこんな彫刻が飾られています。アメリカ人アーティスト、Lynda Benglis の 東西南北 (North South East West) と題された作品です。
曲線が特徴の20世紀を代表する著名なイギリス人彫刻家、ムーア (Henry Moore) の1969年の作品、Reclining Connected Forms。
同じく著名なアメリカ人彫刻家、カルダー (Alexander Calder) の作品も数多く展示されています。
繊細なバランスが美しい、イスラエル人アーティスト、Menashe Kadishman の1977年の作品、Suspended。宙に浮いて見える、この不思議な作品、どうやって支えているのか気になります。
滑り台のようにも見える Alice Aycock の 1987年の楽しい気分になる作品、Three-Fold Manifestation II。
美しい一面グリーンの中に赤一色の目を引くこちらの作品は、旧ソ連ウクライナ出身のアメリカ人アーティスト、Alexander Liberman の1970年のもので Adam です。David Smith や、カルダー同様、Alexander Liberman もストームキングアートセンターのコレクションの代表的なアーティストの一人で、色々な作品があります。
幾何学模様のウォールアートで有名な Sol LeWitt の1971年の作品、Five Modular Units もあります。こちらは、本物の立体で、幾何学模様が美しく、親子が楽しそうに写真撮影していました。
日本人アーティストの作品もありました。こちらの耳は、Tomio Miki の1965年の作品です。
この他、日本と言えば、日系アメリカ人アーティスト、Isamu Noguchi の桃太郎と題された桃が真っ二つに割れた状態を描いた作品もあります。クイーンズのアストリアには、Isamu Noguchi 美術館があります。
Meadows
ミュージアムヒルの西側に位置する、駐車場近くの、緩やかな起伏のある牧草地のエリアは、メドウ(Meadows) と呼ばれています。
カルダーをはじめ、抽象アートの巨大な作品の数々が飾られています。
こちらも Alexander Liberman の巨大な鉄パイプが組み合わされた1970–71年の作品、Adonai。
1970年代は、幾何学模様などシンプルなミニマリズムが大流行だったようですが、そんな時代に珍しい George Sugarman の1970年代中頃の作品、One。
North Woods
ミュージアムの北部は、起伏があり、木々が生い茂る森となっています。そんな森の中にもアート作品が色々と隠れています。こちらは、David Stoltz さんの1972年の作品、Day Game。見る角度によって印象が大きく変わる作品です。
イラン出身のアメリカ人アーティスト、Siah Armajani の1992年の作品、Gazebo for Two Anarchists: Gabriella Antolini and Alberto Antolini。グループの人気写真撮影スポットになっていました。二人の反政府主義者にちなんで名付けられた作品です。
マサチューセッツ州のバークシャー地方にあるウィリアムズ大学の美術館の前にもある Louise Bourgeois の目玉の作品もあります。
抽象アートを彫刻で表現した感じの Charles Ginnever の1971年の作品。Sol LeWitt のウォールアートと似た雰囲気が感じられます、。
South Fields
ミュージアムの南部に広がる草原は、巨大な Mark di Suvero のいくつもの抽象アート作品が印象的です。こちらは、モーツアルトの誕生日(Mozart’s Birthday)という1989年の作品です。イタリア系ユダヤ人の両親の下、中国の上海で生まれたというアメリカ人アーティストです。ニューヨークのダウンタウンをはじめ、パブリックアートとして街角でよく見かけます。Mark di Suvero もストームキングアートセンターの代表的なアーティストです。
抽象的な作品が多いストームキングアートセンターですが、そんな中、珍しく人の全身像が見られるのが、中国人アーティスト、Zhang Huan の2007年の仏陀をテーマとした Three Legged Buddha です。
頭と胴体が分離し、顔の上に足が乗った面白いポーズのシューレアリスム的な作品で、とても印象に残ります。
現在、特別展が行われている Mark Dion の小屋作品は、屋外にもあります。こちらは、正面のドアの上に飾られている鹿の剥製が目立つ The Dark Museum と題された作品です。
園内は、自然がいっぱいで、様々な鳥や小動物にも出会うことができます。
ストームキング アートセンターは、緑がいっぱいで、アートと自然を一緒に楽しむことができる、春から秋におすすめのニューヨーク近郊の屋外美術館です。
ストームキング アートセンター Storm King Art Center
1 Museum Rd, New Windsor, NY 12553 地図
ストームキングアートセンターを訪れるのにおすすめの時期は、緑が美しい春から夏にかけても最高ですが、アメリカの紅葉シーズン もおすすめです。
近くにあるミニマルアートで有名な現代アート美術館の Dia:Beacon や、プレミアムアウトレットのウッドベリーコモンと一緒に訪れてみるのもおすすめです。
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