昨日、ニューヨークでもお馴染みのブランド「ブルーボトルコーヒー (Blue Bottle Coffee)」が、スイスを拠点とする世界最大の食品・飲料会社ネスレ (Nestlé) により買収されることが発表されました。ブルーボトルコーヒーは、上質へのこだわりという、現在に続くサードウェーブコーヒーのトレンドを生み出した代表的なコーヒーブランドの一つです。カリフォルニア州オークランド発で、ニューヨークでは、ブルックリンのウィリアムズバーグなどにもあり、また東京にも2015年に進出している人気のコーヒーブランドです。
現在、テロ事件や北朝鮮の動向、ハリケーンなどによる自然災害など、世界的な様々な不安材料をものともせず、ただひたすら上がり続ける驚異的な株式相場が世界的に続いています。そんな現状を背景に、自力での成長に限界の見える大企業による小さな企業の買収が目につきますが、昨日も、巨大グローバル企業のネスレがブルーボトルコーヒーの株式の過半数を取得したと発表されました。
ネスレは、ネスカフェやネスプレッソなどのコーヒービジネスを展開していますが、ヨーロッパのコングロマリット持ち株会社 JAB Holding Co による、Peet’s Coffee や、Stumptown Coffee などをはじめとした、ハイエンドコーヒーブランドの買収戦略にも影響を受けてのハイエンドコーヒー分野への参入だと思います。
ネスレと言うとインスタントコーヒーという印象がありますが、そんなイメージを払拭しようと、世界の主要都市にネスプレッソブティックをオープンさせたりと、新しい客層を求め、実店舗も強化しているようです。ちなみに、ニューヨークには、ネスプレッソブティックは、SOHO にあります。そのうち、そんなターゲット層を惹きつけるブルーボトルコーヒーの店舗にもネスプレッソマシーンが登場しているかもしれません。一方、ブルーボトルコーヒーは、現在、店舗数を急増させているようですが、今回のパートナーシップにより、経営の独立を保ったまま、株式市場に上場せずに、店舗拡大に集中できるようです。
小さな個性的な企業が、大企業に買収されていくのは少し残念な気もしますが、小さな企業が急激な拡大路線を選択する限り、この株式相場とクレジットマーケットによる大企業の資金調達の容易さでは必然的な帰結かもしれません。このまま行くと、各国の中央銀行、政府、特定の大企業が世界の多くの資産を所有するといういびつな状況にさらに進んで行くことになります。
こちらは、ブルックリンのウィリアムズバーグにあるブルーボトルコーヒーの様子です。
クラフトビール業界などでも同様の傾向で、ブルックリンと言えば、ブルックリンブリューワリーもキリンとのパートナーシップを結んでいます。