ニューヨークの中心、マンハッタン島の対岸には、マンハッタンの景色を見渡すことができる、あまり知られていない素晴らしい眺望スポットが色々あります。そんなニューヨークのおすすめ展望スポットの一つが、ニューヨークのミッドタウンのハドソンリバー側の対岸、ニュージャージー州ウィーホーケン (Weehawken) の崖の上の公園、ハミルトンパークです。ハミルトンパークは、ハドソン川越しのミッドタウンの絶景が楽しめる、のんびりと過ごせる憩いの公園です。ハミルトンパーク周辺は、ブロードウェイミュージカルのハミルトンでお馴染みになった、アレキサンダー・ハミルトンとアーロン・バーの決闘が行われた場所としても有名で、公園の南側には、ハミルトンの記念碑が飾られています。
マンハッタンは、ハドソンリバーやイーストリバー、ハーレムリバー、ニューヨークハーバーに囲まれた島です。ハドソンリバー側の対岸、ニュージャージー州ウィーホーケン (Weehawken) 、ハミルトンパーク (Hamilton Park) は、ちょうどマンハッタンのミッドタウンの目の前に位置する最高の展望スポットになります。
今年は、コロナのため、遠出の旅行をするのも大変なので、エクササイズも兼ねて、お散歩やサイクリングで、色々とニューヨーク近隣のお気に入りスポットを発見して楽しんでいる人も多いと思います。ミッドタウンのハドソン川の対岸にある、ハミルトンパークも、ニューヨーク近隣のそんなおすすめスポットの一つで、ニューヨークの素晴らしい眺望が楽しめ、ちょっとしたお出かけ気分に浸ることができます。
ハミルトンパークの行き方
ハミルトンパークがある、ウィーホーケン (Weehawken) は、リンカーントンネルのニュージャージー州側の対岸に当たり、ニューヨークからは、ポートオーソリティバスターミナルからのバスや、フェリー、PATH とライトレイルなどで、訪れることができます。ハドソン川の西岸には、パリセイズ (Palisades) と呼ばれる切り立った長い崖が続いていますが、ハミルトンパークは、その崖の上にある展望スポットです。
ハミルトンパーク Hamilton Park
773 Boulevard E, Weehawken, NJ 07086 地図
バス
ニューヨークのポートオーソリティバスターミナルからのバス (NJT Bus 165/166/168) に乗ると、公園のすぐ近くのバス停に到着することができます。
車がなくて、一番簡単に行く方法はバスだと思います。
車
車で訪れる場合は、専用駐車場はないので、公園の目の前の道路沿いに駐車します。坂の上で少し大変ですが、サイクリングで訪れることもできます。
フェリー or ライトレイル
フェリー (NY Waterway) や、ライトレイル (Hudson Bergen Light Rail Map – PDF) で訪れる場合は、最寄り駅は、ハドソン川沿いの ポートインペリアル (Port Imperial) になります。
ポートインペリアルに到着後、そこから、崖の上まで上っていきます。急斜面には階段があるため、歩きやすいですが、ちょっとしたハイキングコースのような感じです。途中、車道を少し歩いて、二つの階段を上って崖の上に向かいます。
下から崖の上まで、徒歩で15分程ですが、高低差があるため、意外といい運動になります。上りながら下を見下ろしてみると、ミッドタウンの素晴らしい絶景が広がっています。
階段のゴールからハミルトン公園までは歩いてすぐですが、その途中に、第一次世界大戦メモリアル (The Weehawken World War One Memorial) があります。第一次世界大戦の犠牲者を悼んで、1920-1930年頃に建てられた記念碑です。兵士と水兵のブロンズ像 (Soldier & Sailor Memorial) は、イタリア出身で、ウィーホーケンに住んでいた彫刻家、John Rapetti さんの作品です。John Rapetti さんは、イタリアのコモに生まれ、パリで、Frédéric Auguste Bartholdi の下で、自由の女神制作に携わったりとヨーロッパで活動し、その後アメリカに移住してきました。
お隣には、朝鮮戦争とベトナム戦争のメモリアルもあります。道の反対側には、大きな家が立ち並び、見晴らしがよく、雰囲気がいいエリアです。
ハミルトンパーク
いよいよハミルトンパークに到着です。ハミルトンパークは、実は小さな公園です。そのため、コロナ対策で、マスク着用が必須となっています。公園は、フェンスで囲われていて、スタッフが常駐している入口が、一つだけオープンしていました。
エンパイアステートビルやハドソンヤード、最近、急増している鉛筆のような細い居住用高層ビルなどミッドタウンらしい光景が広がっています。
園内には、色鮮やかな美しいアジサイが咲いていました。
階段で上ってきた崖の様子は、展望スポットから見下ろすとこんな風です。木々が生い茂っています。
パリセイズ (Palisades) と呼ばれるハドソン川西岸の崖は、南は、ジャージーシティ (Jersey City) から北は、ニャック (Nyack) 付近まで続いています。例えば、マンハッタン北部の フォートトライオンパーク や、ブロンクスの ウェイブヒル などからの景色は、パリセイズの崖が川岸に迫っていて、とても迫力があります。
園内には、ベンチや芝生があり、カップルや友人同士、家族連れが、ピクニックをしたりとのんびりと過ごしています。ハドソン川河口方面のロウアーマンハッタンもよく見渡せます。絶景スポットなので、写真撮影にやって来ている人も多いです。
この日は、遅くまでいませんでしたが、夕暮れ時以降もおすすめで、素晴らしい夕焼けや夜景も見ることができます。
ハミルトンの決闘地
マンハッタンから少し離れ、あまり人目につかない木々に覆われた、ハミルトンパーク周辺は、当時、有名な決闘地でした。アレキサンダー・ハミルトンが亡くなる原因となった、1804年7月11日に行われた、アーロン・バー (Aaron Burr) との決闘の地が、この周辺だったことから、公園の南側には、アレキサンダー・ハミルトンの記念碑があります。こちらも、John Rapetti さんによる胸像で、1935年に制作されたものです。
ニューヨークを代表するアメリカ建国の父、アレキサンダー・ハミルトンは、ジョージ・ワシントンの信頼も厚く、初代財務省長官となった人物です。ハミルトンの決闘相手のアーロン・バーは、トーマス・ジェファソンと争った大統領選に負け、ジェファソンの副大統領となっていた人物です。ちなみに、アレキサンダー・ハミルトンの息子も、ハミルトンの決闘の3年前に、ウィーホーケンで決闘を行い亡くなっています。
アレキサンダー・ハミルトンとアーロン・バーの決闘の背景については、こちらで詳しく紹介されています。
アレキサンダー・ハミルトンは、最近、ブロードウェイミュージカルのハミルトンにより、再び脚光を浴びています。今夏から Disney+ でも見ることができるようになっています。大ヒットブロードウェイミュージカル、ハミルトンの軌跡はこちらです。
ニューヨークのハミルトン縁の場所
ニューヨークを代表するアメリカ建国の父、アレキサンダー・ハミルトンの縁のスポットは、例えば、ハミルトン邸の ハミルトングランジ や、お墓のある トリニティチャーチ、アメリカ独立戦争期に拠点となった、モリスジュメルマンション、フランシスタバーン など色々あります。
また、アレキサンダー・ハミルトン像も、ワシントンDCの財務省前など全米各地にあります。ニューヨークでは、セントラルパークのメトロポリタン美術館の裏手にあります。こちらは、アレキサンダー・ハミルトンの息子の依頼により、イタリア人彫刻家、Giuseppe Ceracchi が制作した、1880年の作品です。
ニューヨーク市博物館 の正面左手にもあります。正面右手には、19世紀前半にニューヨーク州知事を務めた DeWitt Clinton の像があります。これらは、1941年、ドイツ人彫刻家、Adolph Alexander Weinman により制作されたブロンズ像です。実は、DeWitt Clinton も、1802年、ウィーホーケンで決闘を行ったそうで、かつて、政治は、血気盛んな危険なビジネスだったようです。
ハミルトンパークは、アレキサンダー・ハミルトンらが活躍した数百年前に思いを馳せることができる歴史的な場所ですが、ニューヨークのパノラマの景色がとにかく美しいので、この絶景を見にやって来るだけでも楽しめます。