経営破綻したHertzの株が今大人気?!前代未聞の新株発行で増資?

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現在、パンデミックとなり世界中に大打撃を与えたコロナにより、様々な社会現象が引き起こされていますが、面白い現象の一つが、経営破綻した会社が新株を発行するかもしれないというニュースです。経営破綻でチャプター11を申請し、再建を図っているレンタカー会社、ハーツ (Hertz) が、なんと新株を発行し、売り出すかもしれません!経営破綻後、株式は、最終的には無価値となることから、株価は0付近まで下落しましたが、その後、個人投資 (投機?) 家の人気に支えられ、驚異の上昇を遂げていることを背景に、裁判所に、チャプター11枠内での、$1b の増資の許可を申請していましたが、認められたことから、本当に新株売出しが起こるかもしれません。

欧米で、コロナが本格的となった3月以降、株式市場が乱高下したり、原油先物がマイナス価格 となったり、不安定な経済市場となっています。3月に急落し、ベアマーケットとなっていたアメリカ株式市場ですが、政府、中央銀行のフェデラルリザーブ、そして世界各国の協調的な金融・経済支援策によって、現実経済とは、すっかりかけ離れた脅威の回復を遂げ、今度は、ブルマーケット状態となっています。

例えば、連邦銀行による珍しい社債市場の支援を紹介しましたが、その他、幅広い コロナ金融対策 が取られ、バランスシートは急激に拡大しています。この他、給付などを含めた、政府による CARES Act による、経済支援があり、同様の政策が、世界各国の政府、中央銀行でも同時に行われています。

アメリカのコロナ金融政策 Fedによる社債購入プログラム運用スタート

ちなみに、フェドが購入したジャンク債ETFには、Hertz も含まれているそうです。
そんな中、上がるものに全力で賭けると言った勇敢な個人投資家も増えているようで、5月末に経営破綻し、再建中の Hertz の株価も最高 $5.53 と、底値の10倍に急騰したりと、一時期の 仮想通貨バブル で ICO が乱立した時期を想起させる状態になっています。

Hertz アメリカ大手レンタカー会社 コロナ破綻!スペイン風邪の年に創業しコロナ禍で破綻 チャプター11申請 再建へ

コロナにより暇を持て余し、デートレーディングにはまっている人も増えているようですが、そんな新タイプの参加者が、大きく寄与しているのでは、と言われています。ミレニアムを中心に人気の無料株式トレーディングアプリ、Robinhood のユーザーデータをまとめた、Robintrack によると、Hertz が、ここ数日間で、最もロングポジションが増えた、一番の人気株となっているようです。理論的には、無価値な株式を、なぜみんなが一斉に買い上がっているのか分かりませんが、ICO と同じノリの、究極のトレンドフォロワーが多いのかもしれません。また、Robinhood などのディスカウントブローカーで取引手数料が無料、格安となっているのには理由があり、オーダーフローを取引所に直接送るのではなく、Two Sigma、Citadel、Virtu などいくつもの大手自動取引ファームにオーダーフローを送ること(payment for order) により収益を上げています。そんなオーダーフローのデータをはじめその他様々なマーケットインテリスを握っている高速取引ファームは、マーケットの動きに大きく寄与していると思われます。

そんな人気を背景に、Hertz は、チャプター11下での新株発行による増資を破綻裁判所に申請していましたが、金曜日に認可され、今後、本当に売出しが行われるかもしれません。証券を使った GoFundMe といった感じでしょうか。

こちらが、6月15日に、証券取引委員会にアップされた目論見書で、$1b ではなく、半額の $500m としています。

投資家保護を謳っている証券取引委員会(SEC) がどんな反応を示すか、興味深い所です。金融政策が行き過ぎると、みんなが大挙して押し寄せそうな、直近での人気資産の予想当てゲームとなってしまい、本質的な価値や将来性の評価をするのが、ますます難しくなってしまいそうです。
いずれにしても、疫病の大流行とそれに伴ったロックダウンをきっかけに、金融市場を含め、社会的な混乱は、しばらく続きそうな気がします。
人種差別や警察の暴力行為に対する熱い抗議デモも引き続き行われています。

ニューヨーク ロックダウン最後の熱い週末!ニューヨーカーたちが再び一致団結

経営破綻したHertzの株が今大人気?!前代未聞の新株発行で増資? was last modified: 5月 4th, 2022 by mikissh