ニューヨークのブルックリンミュージアムでは、現在、ブルックリン出身のアーティスト、バスキア (Jean-Michel Basquiat) のドクロをモチーフとした1982年の作品、“Untitled,” が期間限定で展示されています。この作品は、昨年、ニューヨークのサザビーズで、$110.5 million で前沢友作さんによって落札された、話題となった作品で、バスキアが幼い頃、メンバーだったというバスキアに縁の深いブルックリンミュージアムにて美術館初公開となっています。
先月下旬からスタートしたのが、バスキアの話題作一点を中心とした特別展、ワンバスキア (One Bauquiat) です。ブルックリンミュージアムの一階奥のギャラリーで開催されています。
こちらが、バスキア (Jean-Michel Basquiat) です。
そして、話題作の “Untitled”。最終的には、この作品は前沢友作さんが千葉に計画中の新美術館に展示されるそうです。
ゆったりしたスペースのギャラリーには、多くの人がやって来ていました。ブルックリンミュージアムでは、Black History Month の2月を中心に3月11日まで展示が行われます。
ちなみに、こちらは、ラインのタッチが異なり、左右の向きが反対ですが、同じくドクロをモチーフとしたバスキアの作品で、ロサンゼルスのコンテンポラリーアート美術館、ザブロード(The Broad)に展示されています。
ザブロードは、巨大で個性的な作品が多く並ぶ、とても楽しい雰囲気のコンテンポラリーアート美術館です。
ギャラリースペースのお隣には、バスキアのストリートアーティスト時代の映像が紹介されています。バスキアは、SAMO という名で、知られたニューヨークのストリートアーティストで、ロウアーイーストサイドやソーホーなどにグラフィティを描いていた時代もあります。
バスキアは、その後ファインアートのアーティストに転身。アンディー・ウォーホールとコラボしたり、マドンナがガールフレンドだった時代があったりと、野心溢れ、何かやらかしてくれそうな人間的な魅力の高い人物だったのでしょう。急激なサクセスストーリーを歩んできましたが、惜しくも27歳にして薬物により他界してしまいます。直線的な成功のリニアには成功しない、クリエイティブな世界の人々にインスピレーションを与える存在です。
バスキアの作品は、MOMAやホイットニー美術館などでも一点づつ飾られていますが、ロンドンの Barbican Art Gallery でも、バスキアの特別展が開催されていました。展示は こちらの映像で紹介されていて、数多くのバスキアの作品が見られ、アーティストとしての全体像がつかめます。
かなり長いですが、こちらのドキュメンタリーでは、バスキアについて詳しく紹介されています。作品自体がアーティストとは別に普遍的なアートであり得るのか、議論されることがよくありますが、少なくともバスキアに関しては、アーティスト自身の存在そのものがアートと言えるかもしれません。
黒人アーティストとしてファインアートの世界で活躍したバスキアですが、同じく、ブルックリン美術館の一階では、Black History Month にちなんで、黒人文化をテーマとした展示が行われています。
こちらもとても賑わっていました。スニーカーと黒人のポートレート写真が展示されています。ポートレートと言えば、歴史的に白人の作品が多いですが、最近は、黒人の作品も増えて来ています。そう言えば、アジア人のポートレート作品は、世界中の美術館でもあまり見かけませんね。
何気ない日常的な感じのポートレート作品ですが、どこか惹きつけられるものがあります。
ブルックリン美術館は、ヨーロッパやアメリカのアートからエジプトなど古代遺跡まで幅広い分野をカバーしたミュージアムですが、例えば、ブラックアートなどダイバーシティ的な視点を大切にした個性的な特別展も色々と行われている面白いミュージアムです。
