今週末アメリカは3連休です!1月第3月曜日は、アメリカの祝日、マーティンルーサーキング牧師の日 (Martin Luther King Jr. Day) です。マーティンルーサーキングジュニアは、「キング牧師」として知られており、キング牧師の誕生日が祝日となっています。そんなマーティンルーサーキング牧師にまつわる場所がアメリカにはたくさんあります。マーティンルーサーキングジュニアデーにちなんで、キング牧師について、また、キング牧師にまつわる有名なスポットや演説・名言なども紹介します。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日
1月の第3月曜日は、アメリカの公民権運動で活躍した、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの日(キング牧師の誕生日)として、アメリカでは祝日となっています。勢力的に公民権運動のリーダーとして、アフリカ系アメリカ人への人種差別撤廃運動を行っていた、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)が、メンフィスで暗殺されてから、今年で55年目となります。5年前は、50年目の記念の年で、様々な特別イベントが開催されました。
マーティンルーサーキング牧師の日は、ニューヨーク証券取引所 (NYSE) や銀行もお休みとなります。アメリカでは、どの日を祝日とするかは、州や民間ごとに異なるのですが、マーティンルーサーキングの日は、全米でお休みとなる アメリカの祝日 です。意外に思うかもしれませんが、アメリカは日本など世界の国々と比べて、実は全般的に祝日の数が少ない国でもあります。
アメリカの祝日の中には、個人名が冠されている祝日が3つあります。
1つ目は、「大統領の日」とも呼ばれている、2月の第3月曜日にあたる、ワシントンの誕生日 (Washington’s Birthday) 。
2つ目は、新大陸を発見したクリストファー・コロンブスにちなんだ、10月の第2週目のコロンブスデー (Columbus Day)。
3つ目が、1月の第3月曜日のマーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デー (Martin Luther King Jr. Day) で、ワシントンやコロンブスに並ぶ偉大な人物だということがわかります。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア キング牧師はどんな人?
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア、通称、キング牧師は、日本の学校の英語の教科書などにも登場する人物なので、耳にしたことがある名前だと思います。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、アメリカ南部、アラバマ州モンゴメリーのプロテスタントバプテスト派の牧師さんでした。公民権運動の中心人物となり、人種、色、性別、出身などにより差別することを禁止する “Civil Rights Act”(市民権法(公民権法))が制定される流れをつくった人物です。
今となっては様々な人種が平等の権利を持って住む社会は、アメリカでは当たり前のこととなっていますが、元々アメリカは、イギリスを中心にヨーロッパからやってきた白人による植民地で、イギリス本国からの独立を勝ち取ったものの、当初、社会の中心は白人たちでした。奴隷制度はその後、南北戦争の終結の頃まで続きます。
奴隷制度が廃止になった後も、法律や慣習に根強く差別が残っていました。そんな様々な差別が当たり前だった時代にその常識を変えていくことは本当に大変なことだったと思います。
キング牧師と公民権運動 & モンゴメリー・バス・ボイコット事件
アトランタでバプテスト派教会の牧師をしていた、キング牧師が、新たな使命を背負うこととなったきっかけの事件が、モンゴメリー・バス・ボイコット事件 (Montgomery Bus Boycott) です。
モンゴメリー・バス・ボイコット事件をきっかけに、キング牧師は、公民権運動 (Civil Rights Movement) の指導者となっていきます。
公民権運動 (Civil Rights Movement) の盛り上がりを見せる一つのきっかけとなった象徴的な事件が、1955年に起こった、モンゴメリー・バス・ボイコット事件 (Montgomery Bus Boycott) です。当時、バスの席は、白人席と黒人席が分かれていました。白人席が満席になると、黒人は席を譲るというルールがあったのですが、ローザ・パークス (Rosa Parks) さんという黒人女性は席を譲ることを拒否し事件となりました。白人のお客さんが乗車してきたため、後ろに移動するように運転手に指示されましたが、それを拒み、逮捕されてしまったのです。
ちなみにこちらがその当時、使用されていたバスです。ミシガン州デトロイト近郊の フォードミュージアム 内に展示されています。
モンゴメリー・バス・ボイコット事件 (Montgomery Bus Boycott) で、そんな理不尽な社会に対して、バス・ボイコット運動を主導し、そのリーダーとなったのが、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)でした。キング牧師ら黒人たちは、バスへの乗車をボイコットします。乗客の3/4を黒人客が占めていた市バスは経済的に追い込まれていきます。
1956年ついに、連邦最高裁判所により、バス座席のルールなど、モンゴメリーの人種隔離政策に対して違憲判決が下りました。キング牧師たちの勝利です。
キング牧師「非暴力主義」
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)は、公民権運動において、徹底的な「非暴力主義」を貫きます。それは、インド独立の父、マハトマ・ガンジー (Mahatma Gandhi) の教えの影響を大きく受けたものです。マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)の生まれ故郷、アトランタに、マーティンルーサーキングジュニア国立歴史地区 (Martin Luther King, Jr. National Historical Park) があり、マーティンルーサーキングジュニアと、マハトマ・ガンジーの関係も紹介されています。
キング牧師の演説「私には夢がある」
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)の人生は波乱万丈のものでした。自宅を爆破されたり、暗殺未遂事件でナイフを突き刺されたりしたこともあります。警察に逮捕され拘置所の独居房に投獄された経歴もあります。様々な困難に遭遇することとなりますが、そんな障害を乗り越え、差別のない平等な社会を目指し、デモや演説、執筆活動など、理想の社会の実現のために様々な広報活動を根気強く続けてきました。
キング牧師の演説に “I have a dream“「私には夢がある」という、キング牧師の代表的な名言となったスピーチがあります。
キング牧師の有名な演説が行われたのは、ワシントン大行進の時でした。
アメリカの首都ワシントンDCで、リンカーンの奴隷解放宣言100年を記念し、ワシントン大行進が行われ、公民権運動家だけでなく、芸能人など著名人たちも数多く参加する大集会となりました。
リンカーン記念堂の前で行われた、キング牧師のスピーチが、アメリカを代表する名演説となったのです。
キング牧師の有名な演説、「I Have a Dream」はこちらです。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)は、公民権運動での多大な功績が認められ、1964年に、ノーベル平和賞を受賞しました。
時代を変えた、キング牧師でしたが、最後は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア暗殺事件で亡くなります。1968年のことです。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)は、39歳でした。
テネシー州メンフィスでの演説活動の際、宿泊先のモーテルで、ジェームズ・アール・レイという白人男性により暗殺されてしまいます。
暗殺現場となった建物は、現在、国立公民権運動博物館 (National Civil Rights Museum) となっています。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが亡くなった後、すぐに記念日の制定に動いた人達もいたようですが、なかなか前進しなかったようです。
そんな中、Stevie Wonder による、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアへのトリビュートなどによるキャンペーンですごい数の請願が集まりました。
最終的に、1983年に祝日とする法律が制定され、1986年から 1月の第3月曜日は、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア・デー (Martin Luther King Jr. Day)、キング牧師の日、としてアメリカの祝日となりました。
こちらの映像では、キング牧師の生涯が短くまとめられ紹介されています。
キング牧師とアメリカ市民権運動の有名スポット
アメリカの歴史の一つの大きな転換点である、アメリカ市民権運動について、そして、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア(キング牧師)について詳しく知ることができるミュージアムが、キング牧師の生まれた、アトランタや、暗殺事件が起こった、メンフィスをはじめとする、アメリカ南部などに数多くあります。
ワシントンDC
ニューヨークからも近い、ワシントンDCにも、キング牧師や市民権運動にまつわるスポットがいくつかあります。
ワシントンDC のタイダルベイスンには、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの巨大な像 があります。また、2016年にオープンした、ワシントンDCの最新ミュージアム、国立アフリカ系アメリカ人歴史文化博物館 (National Museum of African American History and Culture) も、アフリカ系アメリカ人の歴史と、公民権運動について詳しく紹介されているミュージアムです。
ジョージア州 アトランタ
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアに関連するスポットで最も有名なのが、キング牧師が幼少期を過ごした家や、父親が牧師をしていた教会などがある、マーティン・ルーサー・キング・ジュニア国立歴史公園 です。
マーティン・ルーサー・キング・ジュニアは、1929年、ジョージア州のアトランタで生まれました。
また、アトランタには、公民権運動の歴史などが詳しく紹介されている、公民権人権センター (National Center For Civil and Human Rights) もあります。
公民権人権センター アトランタの新ミュージアムで学ぶ自由と平等の歴史 National Center for Civil and Human Rights
アラバマ州 モンゴメリー
アラバマ州のモンゴメリーには、牧師となった マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが住んでいた家 や 教会 など、キング牧師縁のスポットが点在しています。
アラバマ州 バーミンガム
公民権運動の節目となった悲しい事件の起こった街が、アラバマ州バーミンガムです。そんな歴史を知ることができる教会や公民権運動に関する博物館などがあります。
テネシー州 メンフィス
キング牧師が暗殺された建物が、テネシー州メンフィスの公民権運動に関するミュージアム、国立公民権運動博物館 (National Civil Rights Museum) となっています。
マーティンルーサーキング牧師の日は、入場無料で、イベントが開催されます。
ミシシッピ州ジャクソン
ミシシッピ州ジャクソンには、2017年にオープンした新しい公民権運動に関する州立ミュージアム、ミシシッピ公民権運動博物館 (Mississippi Civil Rights Museum) があります。
マーティンルーサーキング牧師の日の週末は、入場無料です。
Mississippi Civil Rights Museum
アメリカ国立公園・ナショナルモニュメントが入場無料に!
マーティンルーサーキングジュニアの日は、アメリカ国立公園の無料入場の日 です。
全米中の国立公園やナショナルモニュメントが無料となります。近所に住んでいる人、ちょうど旅行で訪れる人は、是非立ち寄ってみましょう。
ミュージアムも特別イベントや無料入場を開催!
例年、以下の人気ミュージアムでは、マーティンルーサーキングジュニアの日を祝して、特別イベントが開催されたり、入場料が無料になったります。
アトランタ
Atlanta Hisotry Center & Margaret Mitchell House
メンフィス
ボストン
Museum of Fine Art Boston
Isabella Stewart Gardner Museum
ICA Boston
デトロイト周辺
シカゴ
イリノイ州住人のみ無料入場になったりします。
Field Museum
Shed Aquarium
Museum of Industry and Science
楽しい週末を♡