Hartford, Connecticut (19)

ニューブリテン美術館 最古のアメリカンアートミュージアム コネチカット州 New Britain Museum of American Art

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コネチカット州のハートフォードから近い街、ニューブリテンには、アメリカ最古のアメリカンアート専門のミュージアム、ニューブリテン美術館 (New Britain Museum of American Art) があります。独立初期の肖像画や、アメリカならではの大自然を描いた風景画、Thomas Hart Benton ら20世紀初頭のアメリカ社会の様子を描いた作品、アメリカの近現代アート、そしてイラストまでアメリカンアートの代表的アーティストの作品が、幅広く展示され、アメリカンアートの歴史を辿ることができます。

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ニューブリテン美術館 (New Britain Museum of American Art) があるのは、コネチカットの州都、ハートフォードから南西に20分程の場所にある、ニューブリテンです。ニューブリテン美術館が、設立されたのは、1903年で、アメリカンアートに特化したミュージアムとしては、最古の美術館です。アメリカンアートに特化した美術館といえば、ニューヨークの ホイットニー美術館 が思い浮かびますが、ホイットニー美術館が設立されたのは、1931年と、だいぶ後になります。
正面では可愛いペンギンたちがお出迎えしてくれていて、美術館を訪れる人々の写真スポットになっています。

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ミュージアムに入り、いよいよギャラリーへ行こうとするその時、ギャラリーの手前では、警備員さんが睨みをきかせていました。通りすがりになんか不思議な感じがして、よく見てみると、眠たそうな警備員さん?こんなに堂々と居眠りする?よーくよーく見てみると、もしかして本物じゃないかもということに気づきます。でも、かなり本物に見える作りで、瞬時には判断できなかったのですが、やはり生きている本物の人に見えるとてもよくできた像でした。なんてユーモラスなミュージアム!入場早々にびっくりしてしまいましたが、こんなふっと笑ってしまうジョークのような作品が、アメリカンアートの一つの特徴と言えるかもしれません。

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ギャラリーに入ると、まず登場するのが、アメリカ独立当初の頃の主なモチーフだった肖像画作品です。John Singleton Copley、ジョージ・ワシントンの肖像画で有名な Gilbert Stuart、John Trumbull ら当時の著名なアーティストの作品が並んでいます。中でも目を引いたのが、こちらのペアの2作品です。右側は、Ralth Earl の1785-88年の黒人が脇役として登場する作品、”Gentleman with Negro Attendant”。左は、そんな右側の作品を受けて、2011年に、Titus Kaphar が描いた黒人が主役の作品、Jaavon and the Unknown Gentleman です。ちなみに、この絵の登場人物 Jaavon は、アーティストが小さい頃の知り合いの少年がモデルだそうです。今年、コロンビア大学の美術館 で開催されていた黒人モデルをテーマとした特別展では、同じコンセプトで、マネのオリンピアの絵の中の主役が交替している作品がありました。Titus Kaphar は、注目を集めているコンテンポラリーアーティストで、MASS MoCA や、ブルックリン美術館 などでも展示されています。ブルックリン美術館では、10月13日まで、一作品のみの特別展、“One: Titus Kaphar” が行われています。

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肖像画に続いて登場するのが、イラスト作品です。先日、紹介したニューポートのイラストミュージアム、国立アメリカンイラストレーション美術館 でも見かけたアーティストたちのものを含め、色々なイラスト作品が展示されています。
こちらは、アメリカで最も知られるイラストアーティスト、Norman Rockwell の1958年の作品、Weighing In。競馬の騎手の小柄な様子が引き立つ、コミカルなイラストです。

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そして、こちらの独特な色使いの神秘的な作品は、一目で誰のものか分かる特徴的な作品で、ロックウェルの一つ前の世代のイラスト界の巨匠、Maxfield Parrish の1942年の作品、Dusk (Eventide) です。

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船上での緊迫感ある光景を描いた1911年の作品、”One more step, Mr. Hands,”, said I “and I’ll blow your brains out,” というまるでセリフのような長いタイトルの N.C. Wyeth の作品です。N.C. Wyeth は、アメリカのイラスト界の父と呼ばれる Howard Pyle のイラスト学校出身のアーティストです。息子も有名なアーティストで、MoMA にある有名作品 Andrew Wyeth などを描いていて、この Wyeth 家は、他にも何人ものアーティストを輩出しているすごい芸術一家です。

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美術館の隣には、緑がいっぱいの Walnut Hill Park が、広がっていて、彫刻などのパブリックアートが点在しています。セントラルパークをデザインしたことでも知られる Frederick Law Olmsted のデザインの 1870年に誕生した歴史ある公園で、国家歴史登録財 (National Register of Historic Places) となっています。

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こちらは、19世紀初頭から中頃にかけて隆盛だった風景画のギャラリーです。とても美しい空間に、作品が神々しく展示されています。トーマス・コールや Asher Brown Durand らハドソンリバー派を代表するアーティストの作品をはじめ、アメリカの大自然やヨーロッパの景観を描いた作品が数多く並んでいます。

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自然の景観だけでなく、神話の世界を描いた作品も展示されていました。こちらは、植民地時代のアメリカ出身で、後にイギリスでも活躍したアーティスト、Benjamin West の1806年の作品、Thetis Bringing Armor to Achilles です。

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19世紀の著名アメリカンアーティストの一人、George Inness が1857年にサン・ピエトロ大聖堂を描いた作品、St. Peter’s Rome です。ヨーロッパを何度も訪れていて、フランスのバルビゾン派の影響が感じられ、ハドソンリバー派とは少し違った雰囲気のアーティストです。

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ハドソンリバー派のドイツ系アメリカ人アーティスト、Albert Bierstadt の1872-87年のアザラシを描いた西海岸らしい作品、Seal Rock です。西部開拓時代に、アメリカ西部を描いた作品で有名なアーティストです。

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こちらは、ハドソンリバー派最後のアーティストといわれる Alfred Thompson Bricher の1880-85年の作品、Sunrise。思わず見とれてしまう美しい作品です。19世紀後半には、風景画以外のモチーフが人気となっていきます。

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ギャラリーには、可愛らしい彫刻も展示されています。

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19世紀後半に、次第に人気となっていくのが、何気ない日常の光景を描いた風俗画です。18世紀に描かれた偉人や著名人とは違った、一般市民を描いた肖像画も数多く登場します。

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こちらは、Winslow Hormer の1878年の作品、Butterlies (The Butterfly Girl, Summer)。チョウを追いかける森の中の少女が描かれています。

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こちらは、メトロポリタン美術館の共同創設者の一人としても知られる Eastman Johnson の1876年の作品、Hollyhocks。美しいお花と女性たちのドレスが印象的な作品です。

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ブタさんがこんな姿でお皿に乗って運ばれていくという、少しコミカルな感じの作品が目にとまりました。Francis Blackwell Mayer の1870年の作品、The Plate of Honor です。

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アメリカの19世紀の大事件といえば、南北戦争。そんな時代に活躍したリンカーンやグラントらの彫刻も飾られています。

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現在は、終了していますが、Shaker furniture と呼ばれる独特のデザインの家具と Ellsworth Kelly の独特の色使いの作品が並んで展示されていました。

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1880年代以降、1930年代頃までは、ヨーロッパでの印象派の影響を受け、アメリカでも数多くの印象派的作品が描かれていきます。海と空の美しい青が印象的だったり、自然景観や日常が、アーティストの独特のレンズを通して描かれている作品です。

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サージェント (John Singer Sergent)、Mary Cassatt、Theodore Robinson、Childe Hassam らアメリカ印象派を代表するアーティストの作品が展示されています。

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アメリカ経済が急成長を遂げた20世紀初頭には、ニューヨークなど都市部の光景や工業化するアメリカを描いた作品も登場していきます。

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1929年に起こった大恐慌以降、1930年代のアメリカでは、そんな反動か、アメリカのそれぞの地方ならではの景観を描く、American Regionalism が、盛んになります。シカゴ美術館の American Gothic などで知られる グラント・ウッド と並んで、そんな時代の代表的アーティストの一人、Thomas Hart Benton の1935年の作品、Strike, Fall River です。Thomas Hart Benton は、壁画アーティストでもあり、部屋いっぱいに巨大な作品が展示されているギャラリーもあります。メトロポリタン美術館にも Thomas Hart Benton の迫力ある壁画ギャラリーがあります。

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2階へと続く階段には、美しいお花と鳥のウォールアートが描かれていてとても華やかな雰囲気のミュージアムです。

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2階の廊下部分には、美しい植物の絵画作品が並びエレガントな雰囲気になっています。

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ヨーロッパの抽象アートの影響から出発したアメリカの抽象アート。カルダーの作品などが展示されています。

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20世紀前半のモダンアート風の作品も美しく並べられています。

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こちらは、ニューヨークで活躍したアーティスト、エドワード・ホッパー (Edward Hopper) の1916-19年の珍しい風景画の作品、Blackhead, Monhegan です。都市部の日常の光景を独特のタッチで表現した作品が多く描かれています。

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フランス系アメリカ人アーティスト、Guy Pene Du Bois のアールデコな雰囲気の1934年の作品、Yvonne in Green Dress。

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後に、抽象表現主義の代表的存在となる、ジャクソン・ポロック (Jackson Pollock) が、20代の頃描いた珍しい雰囲気の作品、T.P.s Boat in Menemsha Pond もあります。

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著名イラストレーター、N.C. Wyeth の息子 Andrew Wyeth の作品も2点展示されています。こちらは、お葬式の様子を描いた1945年の作品、John Olson’s Funeral です。

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Andrew Wyeth の妹、Henriette Wyeth の1945年の作品、Autumn Banquet。優しいタッチの素敵な作品です。

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メキシコ出身で、ニューヨークで活動するアーティスト、Pablo Helguera の特別展、NEW/NOW: Pablo Helguera が、2019年9月15日まで開催されています。歴史と文学に基づいたストーリーテリングが特徴の個性的な作風のアーティストです。

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現在は終了しましたが、Nor’Easter: The 49th Annual Juried Exhibition と題されたアートコンテストへの出展作品の展示が行われていて、個性豊かな作品が色々と並んでいました。

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例えば、こちらは、ビーズで描かれている面白い作品です。

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ニューブリテン美術館には、ガラスアートで有名なチーフーリ (Dale Chihuly) の作品、Blue and Beyond Blue も飾られています。

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アート鑑賞の後は、ニューブリテン美術館の小さなギフトショップもお見逃しなく。

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ニューブリテン美術館の見学所要時間は、2時間程で全体をゆっくりと見て回ることができます。
美術館見学後は、お天気のいい日は、緑の綺麗なお隣の公園を散歩してみるのもおすすめです。

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ニューブリテン美術館 New Britain Museum of American Art
56 Lexington St, New Britain, CT 06052 地図

アート好きの人は、一緒に、ハートフォードにあるワズワース美術館を訪れてみるのもおすすめです。

ワズワース美術館の見どころ ハートフォードのアメリカ最古の美術館 Wadsworth Atheneum Museum of Art

ニューブリテン美術館 最古のアメリカンアートミュージアム コネチカット州 New Britain Museum of American Art was last modified: 8月 16th, 2019 by mikissh