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ワズワース美術館の見どころ ハートフォードのアメリカ最古の美術館 Wadsworth Atheneum Museum of Art

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ワズワースアセニアム美術館 (Wadsworth Atheneum Museum of Art) は、ニューヨーク州のお隣、コネチカット州の州都、ハートフォードのダウンタウンにあるミュージアムです。ゴシックリバイバル様式の教会を彷彿とさせた建物が印象的なミュージアムで、設立されたのは、なんとアメリカ南北戦争以前の1840年代とその歴史は長く、アメリカの美術館の中で最古の美術館の一つとなっています。歴史ある美術館の建物内には、世界各地の歴史的遺品から、様々な時代の西洋美術、印象派、近代美術、そして、Sol Lewitt のウォールアートや、草間彌生の代表的作品のカボチャなど、コンテンポラリーアートまで数々の著名アーティストの作品が飾られた、見どころいっぱいの美術館です。

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ワズワースアセニアム美術館

Hartford, Connecticut (4)

ワズワースアセニアム美術館 (Wadsworth Atheneum Museum of Art) は、ダニエル・ワズワース (Daniel Wadsworth) により、1842年に設立され、1844年にオープンした歴史ある美術館です。19世紀初頭に設立されたペンシルバニアアートアカデミーに続く、アメリカ最古の美術館の一つです。ワズワース家は、ハートフォードの裕福な名家で、Daniel Wadsworth 自身もアーティストでした。妻は、アレキサンダー・ハミルトンの肖像画などでも知られる当時の著名アーティスト、John Trumbull の娘だったこともあり、アーティストをサポートするパトロン、コレクターとして知られています。アメリカの大自然を描いた Thomas Cole や Frederic Edwin Church らハドソンリバー派のパトロンでもあり、コレクションを展示するギャラリーとしてだけでなく、図書館、教育など広範囲の活動を目的としたことから、ワズワースアセニアム(Wadsworth Atheneum) と名付けられました。現在は、美術館が中心となっていますが、図書館も併設されています。

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ワズワースアセニアムは、ダニエル・ワズワース死後も、例えば、ハートフォード出身で銀行家とした財をなした J.P. Morgan など様々な人物の貢献により、拡大を続け、現在では、5万点に及ぶ幅広い分野のコレクションを誇っています。最古のゴシックリバイバル様式の建物を含め、5つの建物からなる美術館で、最も巨大なのが、J.P. Morgan の寄付により、1910年代に建設された Morgan Memorial Building と呼ばれるボザール様式の建物で、リノベーションを経て、美しいギャラリーに変身しています。また、美術館の壁には、ハートフォード出身のウォールアートで有名なアーティスト、Sol Lewitt の作品が華やかに描かれています。

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設立当時から展示されている John Trumbull の作品やこちらのトーマス・コールの1843年の作品、シチリア島の風景を描いたタオルミーナから臨むエトナ山 (Mount Etna from Taormina) をはじめ、長い年月を経て、美術館が収集してきた世界各地の歴史的な遺品、西洋アート、近現代アート、アメリカンアートなど幅広い分野の著名アーティストのキラリと光る作品が多く、見応えのある美術館です。

Thomas Cole

常設展の他、期間限定の特別展も開催されています。こちらが、フロアプラン(PDF)で、全体を見て回るには、2時間半程みておくといいと思います。

モルガングレートホール

モルガングレートホールの入り口にさっそく現れたのは、華やかな草間彌生のカボチャ (Pumpkin) と Sol LeWitt のウォールアートで、とてもポップな雰囲気になっています。Sol LeWitt は、MASS MoCA で、大規模な展示が行われています。草間彌生は フィリップジョンソンのグラスハウス など、ニューヨーク周辺でも様々な個展が行われていますが、今年の11月には、ニューヨークのギャラリー David Zwirner で、再び特別展が開催される他、来年は、ニューヨーク植物園で特別展 が開催されるという、今大変人気のアーティストです。

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館内で、最も圧巻なのが、Morgan Memorial Building の1階部分にある巨大なギャラリー、Morgan Great Hall です。例えば、ルーベンスやムリリョら古典西洋美術の巨匠の作品がずらりと並べられています。もともとは、1910年に建てられた建物ですが、近年、リノベーションされ、2015年にオープンした、新しいホールです。

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右下にある作品は、ジョバンニ・パオロ・パンニーニ (Giovanni Paolo Panini) の” The Picture Gallery of Cardinal Silvio Valenti Gonzaga”。モルガングレートホールは、パンニーニがよく描いた、かつてのサロンのような雰囲気のギャラリーとなっています。

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ルネサンス期から19世紀までの巨匠の作品が壁いっぱいに展示されています。19世紀にイギリスで活躍したアーティスト、レイトン卿 (Frederic Lord Leighton) の1869-71年の神話の世界を描いたアカデミックアート的作品、”Hercules Wrestling with Death for the Body of Alcestis” など素晴らしい作品が、並んでいます。ちなみに、レイトン卿は、男爵の称号を与えられた翌日に亡くなり、男爵だった期間が史上最短だったという記録に残る人物だそうです。

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Morgan Great Hall の周りのギャラリーでは、エジプト、ギリシア、ローマなど世界各地の古代文明の歴史的遺品が展示されています。唐三彩と呼ばれる陶器のらくだなど中国の唐の時代の遺品も飾られています。

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西洋アート

ワズワースアセネウム美術館では、ルネサンス期以降、印象派まで西洋アートの様々な時代の作品が、その当時の装飾アートと一緒に展示されています。西洋アートのギャラリーは、1階のモルガングレートホールとルネサンス期アートのギャラリーからはじまり、そのあとモルガンホールの2階へと続いています。2階には、モネ、ルノワール、ゴッホなど有名な印象派アーティストをはじめ、19世紀の巨匠の作品が、展示されています。

ルノワール

こちらは、ルノワール (Pierre-Auguste Renoir) が、モネを描いたという珍しい作品です。
モネが、Argenteuil の自宅の庭で、絵を描く姿を描いた1873年の作品です。

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モネ

モネ (Claude Monet) が、1870年に描いたノルマンディー地方の町のビーチの光景の作品、The Beach at Trouville。

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モネが、晩年、自宅のあった Giverny で、数多く描いた有名な睡蓮、Nymphéas (Water Lilies) もあります。

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ドガ

バレリーナや馬のモチーフで知られるドガですが、こちらは、ドガ (Edgar Degas) が、まだサロンに応募、出展していた頃、1868-70年の作品で、Double Portrait – The Cousins of the Painter です。アカデミックアート風に描かれています。

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ゴッホ

ゴッホ (Vincent Van Gogh) が、1887年に描いた自画像もあります。ゴッホは、数多くの自画像を描いていて、メトロポリタン美術館やワシントンDCのナショナルギャラリー、ゴッホ美術館、オルセー美術館などでも見ることができます。

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ゴッホは、作品も売れず困窮していた晩年、モデルを雇う必要のない静物画を数多く描いていました。こちらは、長い間、ゴッホのものかどうか論争が続いていた作品ですが、今年、オランダのゴッホ美術館の鑑定により、ゴッホのものだと認定されたという赤いポピーを描いた1886年の作品です。マルモッタンモネ美術館 で、展示されていたモネの赤いクリサンセマムの作品を少し彷彿とさせますが、そんな印象派の影響が感じとれます。

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クリムト

オーストリア人アーティスト、クリムト (Gustav Klimt) の作品もあります。こちらは、1890-92年、クリムトが、若い頃に描いたアカデミックアート風の作品、Two Girls with Oleander です。クリムトは次第に、デフォルメされた抽象アート的な作品を描くようになっていきます。クリムトの作品は、ニューヨークでは、メトロポリタン美術館ノイエギャラリー で見ることができます。

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ドラクロワ

19世紀にフランスで活躍したロマン主義アーティスト、ドラクロワ (Eugène Delacroix) の1854年の作品、Bathers。ルノワール、セザンヌをはじめ、印象派以降のアーティストも数多く描いたモチーフです。ドラクロワと一目で分かる、ドラクロワらしい色使いの作品です。昨年、メトロポリタン美術館では ドラクロワ展 が開催されていました

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ミレー

落穂拾いなど風景を中心とした作品で知られるバルビゾン派の代表的アーティスト、ミレー (Jean François Millet) の珍しい肖像画もあります。こちらは、1841年に描かれた Madamoiselle Henriette Ferré。

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ターナー

19世紀前半に活躍したイギリスの著名ロマン主義アーティスト、ターナー (J. M. W. Turner) の作品もあります。こちらは、1832年に描かれた Van Tromp’s Shallop at the Entrance of the Scheldt。イギリスの国民的アーティストで、ロンドンの テートブリテン では、数多くのターナーの作品が展示されています。

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Cabinet of Art and Curiosities

Cabinet of Art and Curiosities のギャラリーでは、黄金期のオランダ絵画をはじめ、16~17世紀にかけてのアート作品や歴史的な遺品が展示されています。

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初期バロック

17世紀前半から中頃にかけての初期バロックのギャラリーでは、スペインの Francisco de Zurbarán やフランダース地方出身で、イギリスで活躍したアンソニー・ヴァン・ダイクらの作品が展示されています。

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後期バロック

後期バロックのギャラリーには、巨大なジョルダーノ (Luca Giordano) の1685-90年の作品、The Abduction of Helen of Troy と The Abduction of Europa があります。

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ルネサンス

1階、グレートモルガンホールのロビーの隣には、美しい食器や絵画などルネサンス期の作品が集まるギャラリーがあります。

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モダンアート Avery Court

1934年に建てられたインターナショナルスタイルの Avery Memorial の中心にある Avery Court の1階は、モダンアートのギャラリーとなっています。ピカソ、マグリット、モンドリアンなど20世紀前半に活躍した近代アートの巨匠の作品が、展示されています。

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ピカソ

ピカソの作品は、1923年の珍しい静物画、Still Life with Fish、アーティストを描いた1934年の The Painter など3点程展示されていました。

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ミロ

こちらは、ミロ (Joan Miró) の1925年の作品、Dream Painting。ミロについては、こちらでも詳しく紹介しています。

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シャガール

シャガール (Marc Chagall) の1939-45年の作品、Autumn in the Village。色味の綺麗な作品が多く、見ていて楽しい空間です。

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ジャコメッティ

可愛らしい小人のようなジャコメッティの像たちもいます。

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コンテンポラリーアート

1階には、現代アートのギャラリーが二つあります。一つは、戦後すぐの抽象アートを中心としたギャラリー、もう一つは、ポップアートやミニマルアートなど、抽象アートより後の時代から現在までの様々なジャンルの現代アートのギャラリーとなっています。

抽象アート Huntington Gallery

Huntington Gallery は、第二次世界大戦後、ポストウォーの時代に隆盛だった抽象アートのギャラリーです。カルダー、Willem de Kooning、Ellsworth Kelly の作品など、形や色合い、その描き方の手法などが特徴となる様々な抽象アートの作品が展示されています。

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ポップ・ミニマリストアート Hilles Gallery

もう一つの現代アートのギャラリー、Hilles Gallery では、ケネディ大統領が登場する Robert Rauschenberg のシルクスクリーンの作品、Retroactive I など60年代のものから最近の21世紀の作品まで幅広い作品が展示されています。著名な中国人現代アーティスト、Ai Wei Wei の作品などもあります。

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アメリカの西海岸でも活動していたこともある、イギリスの代表的なコンテンポラリーアーティスト、David Hockney の1989年の作品、Duffen and Richard Buckle (Older Gentleman with Young Gentleman)。2017年には、メトロポリタン美術館で、David Hockney の特別展 が開催されていて、その時もとても人気がありました。

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George Segal の巨大な黒いインストレーションアート作品、Man in Doorway も印象的です。

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こちらは、ブルックリン美術館 でもお馴染み、Kehinde Wiley の2016年の作品、Portrait of Toks Adewetan (The King of Glory)。黒人を英雄的に描く作風で知られています。

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アメリカンアート

モダンアートのギャラリーがある Avery Court の3階は、アメリカンアートのギャラリーとなっています。昨年、メトロポリタン美術館で特別展 の開催されていたハドソンリバー派を代表するアーティストの Thomas Cole やハートフォード出身で、コールの生徒だった Frederic Edwin Church の作品などアメリカ初期の風景画が数多く展示されています。

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19世紀に全盛だったアカデミックアート風の作品。Thomas Dewing の1884-86年の作品、The Days。素敵なソファと一緒に展示されています。

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サージェント

イギリス出身で、何度もアメリカを訪問し、数多くの肖像画を残しているサージェント (John Singer Sargent) の1887年の作品、Ruth Sears Bacon。

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フローリン・ステットハイマー

20世紀前半のニューヨークの女性アーティスト、Florine Stettheimer の楽し気な雰囲気の1924年の作品、Beauty Contest: To the Memory of P. T. Barnum もあります。数年前に NYで フローリン・ステットハイマーの特別展 が開催されるなど現在では評価されているアーティストですが、当時は、ほとんど評価されることがなかったアーティストだったそうです。

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イサム・ノグチ

日系アメリカ人彫刻家、イサムノグチ (Isamu Noguchi) の面白い作品もあります。1950年の作品、Bell Child。ニューヨークのクイーンズに イサムノグチ美術館 がありますが、今回の作品は今までに見たことがない珍しいタイプの作品でした。

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ノーマン・ロックウェル

日常の何気ない光景をユーモラスに描いたアメリカで最も有名なイラストアーティスト、ノーマン・ロックウェル (Norman Rockwell) の作品もあります。1953年の作品、The Young Lady with the Shiner。通常の美術館には、数点づつしかりませんが、ロックウェルの作品は ノーマンロックウェル美術館国立アメリカンイラストレーション美術館 などで数多く見られます。

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Andrew Newell Wyeth

ニューヨークの MoMA の少女が草原に寝ころんで後方を眺めている作品、Christina’s World でもお馴染み、どことなく寂し気な雰囲気でなぜか心に残る作風の Andrew Newell Wyeth の1956年の作品、Chambered Nautilus です。

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アメリカ装飾アート

1階のモダンアートのギャラリー周辺では、”Design in the American Home, 1650 to 1850″ と題されたアメリカ装飾アートの展示が行われています。

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2階でも、様々なアメリカの歴史ある家具が展示されています。木時計や箪笥などの他、こんな凝ったゆりかごなども展示されています。

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特別展

Giorgione’s La Vecchia

現在は終了しましたが、ベネチアのアカデミア美術館から期間限定でやって来ていたハイルネサンス期に活躍したジョルジョーネの老女 (La Vecchia) の特別展が開催されていました。ジョルジョーネは、ダヴィンチやミケランジェロと同時期、ルネサンスの最盛期に活躍したベネチア派のアーティストで、同時代やそれ以降のアーティストに大きな影響を与えました。30代で亡くなったこともあり、あまり作品は残されておらず、希少な存在です。

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Be Seen: Portrait Photography Since Stonewall

3階の特別展ギャラリーでは、ストーンウォール事件50周年を記念した特別展、Be Seen: Portrait Photography Since Stonewall が行われています。アンディ・ウォーホルの作品などLGBTQを中心に、公民権運動に関するポートレートの作品が展示されています。9月15日までの開催です。

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ミュージアムのアート鑑賞の最後には、ミュージアムギフトショップに立ち寄ります。アート関係だけでなく、上品なセンスのいい小物なども並ぶ綺麗なお店でした。

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美術館の周囲には ストームキングアートセンター にあるような巨大なカルダーの作品、La Grande Vitesse をはじめ、巨大なパブリックアートが、点在していて、楽しい雰囲気となっています。

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ワズワース美術館は、素晴らしい作品が多く、見応えのある美術館で、ニューイングランド地方への旅行の際に、足を伸ばしてみるのにおすすめです。水曜日から日曜日までの閉館1時間前や、第2土曜日の午前10時から午後1時までなど、入館無料の時間もあります。
ハートフォード周辺は、実は、Hillstead Museum や、New Britain Museum of American Art など色々なアートミュージアムや、トムソーヤの冒険などで知られるマークトウェイン邸など歴史的な見どころもあり、一泊二日で色々と楽しむこともできます。

ワズワース・アテネウム美術館 Wadsworth Atheneum Museum of Art
600 Main St, Hartford, CT 06103 地図

ワズワース美術館の見どころ ハートフォードのアメリカ最古の美術館 Wadsworth Atheneum Museum of Art was last modified: 8月 10th, 2019 by mikissh