ニューヨークでは、フクロウが大きな話題になった年でした。ウィズコロナで暗いニュースが多い中、微笑ましい話題でニューヨーカーたちを和ませてくれました。その中心となった話題のフクロウというと、ニューヨークのホリデーシーズンの象徴、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーに隠れていた、小さな可愛いフクロウのロッキーです。高層ビルが立ち並ぶ大都会のニューヨークへやって来るフクロウは、トラックで運ばれてくるという珍しいケースだけではなく、実は、市内各所の森に、様々なところから色々な種類のフクロウがやって来ています。今年、初めて野生のフクロウを何度も見る機会がありましたが、ニューヨークでフクロウに多く遭遇する場所といったら、セントラルパークです。セントラルパークに長期滞在中のバリー君をはじめ、ニューヨーク周辺で見られるフクロウたちを紹介します。
ニューヨークで今年、一番話題になったフクロウさんといえば、ロックフェラーセンターのフクロウです。
ロックフェラーセンターに、ニューヨーク一の巨大な クリスマスツリーが到着 した11月中旬、ツリーに隠れていて発見され、赤ちゃんフクロウのような可愛い姿で、一躍人気者になりました。すっかり有名になったロックフェラーセンターのクリスマスツリーのフクロウ、ロッキーをはじめ、ニューヨーク周辺に生息している様々なフクロウを紹介します。
アメリカキンメフクロウ Northern Saw-whet Owl
(facebook – Ravensbeard Wildlife Center)
ロックフェラーセンターのクリスマスツリーが、アップステートの Oneonta からやって来た11月中旬直後、一躍話題となったのが、木に隠れていて、連れてこられてしまった、小さな可愛い、アメリカキンメフクロウ (Northern Saw-whet Owl) の「ロッキー」です。フクロウの名前は、ロックフェラーセンターのクリスマスツリーで発見されたことからロッキーと呼ばれています。ロッキーは、フクロウの赤ちゃんかと思ってしまうほど小さくて可愛らしいのですが、アメリカキンメフクロウという種類のフクロウは、ニューヨーク周辺にいるフクロウの中では最小サイズのフクロウで、大人でもとても小さいのだそうです。
フクロウといえば、一般的には捕食者で、生きている動物を食べる肉食の強い鳥のイメージがありますが、アメリカキンメフクロウ (Northern Saw-whet Owl) や、アメリカオオコノハズク (Eastern Screech Owl) などの小さなフクロウは、他のフクロウなどから狙われることもあり、木の穴などにひっそりと隠れていることも多く、今回のようにクリスマスツリーの中で発見されることもあるようです。
(facebook – Ravensbeard Wildlife Center)
クリスマスツリーの運送に携わっていた人が隠れていたフクロウを発見し、アップステートにある野生動物保護の NPO、Ravensbeard Wildlife Center に連れていき保護していました。木が切られて運ばれてくる間の3日間程、隠れていたフクロウは何も食べられなかったのでお腹をすかせ、脱水状態で弱っていたと思いますが、アップステートの保護センターでしばらく保護されていた後、無事、自然に帰って行ったそうです。その時の様子は、こちら で紹介されています。
ロッキーは、大変話題の人気フクロウとなり、何冊もの絵本や、関連グッズなど色々と登場しています。NPOの保護センターにもかなり寄付が集まったそうです。
絵本にぴったりなハッピーエンディングな出来事だったので、あっという間に何冊もの絵本が出版されました。”Rocky The Christmas Owl” などあります。
Northern Saw-whet Owl は、季節によっては長距離を移動し、冬には、セントラルパークなどニューヨークに現れることもあるフクロウです。Northern Saw-whet Owl に似ていて、少し大きいキンメフクロウの Boreal Owl もニューヨークで見られることが稀にあるようです。
参考 Northern Saw-whet Owl (Boreal Owl)
セントラルパークで見かけたアメリカキンメフクロウ(Northern Saw-whet Owl) の様子は、こちらです。
アメリカフクロウ Barred Owl
ロッキーが話題となったのは、11月中旬ですが、一足早くセントラルパークで人気者となっていたのが、アメリカフクロウ (Barred Owl) のバリーです。セントラルパークに、10月中旬頃に登場して以来、居心地がいいのか、大雪や大雨の嵐にも負けず、2ヵ月以上も滞在しています。もしかすると今冬まるまるセントラルパークで過ごすつもりなのかもしれません。アメリカフクロウは、大型で、とても愛嬌がある可愛い黒目のフクロウです。好奇心旺盛な感じで、数々の野鳥の中でも最も人間に興味を示している印象があり、まるでモデルさんのように大勢のバードウォッチャーたちにその姿を披露してくれています。
アメリカフクロウは、セントラルパークだけでなく、直近では、コロンビア大学近くのリバーサイドパークやインウッドヒルパークなどでも目撃されています。
日中、リラックスしつつ羽繕いする姿も、とても可愛いです。
フクロウは、日中は一ヵ所でじっとしていることが多いですが、夕暮れ時には活発になり、とても静かに羽ばたきながら、狩りをしに飛び立って行きます。
セントラルパークのバリー君は、現在、ボートハウス近くのランブルにいて、春を前に、元気な鳴き声も聞こえるようになって来ています。
参考 Barred Owl
アメリカワシミミズク Great Horned Owl
北米最大、最強のフクロウが、まるでトトロのような見た目のフクロウ、アメリカワシミミズク (Great Horned Owl) です。アメリカワシミミズクは、しばらくの間、セントラルパーク中部の森、ランブルに滞在していました。用心深く、木の高い所で大人しく過ごしていたので、姿を捉えるのはなかなか大変でした。黄色い目の真中に黒目があります。
冬には、いなくなってしまいましたが、春には、再びセントラルパークにやって来ています。
グレートホーンドオウル ニューヨーク セントラルパークのノースウッズに現る!アメリカ最強のフクロウ アメリカワシミミズク
トラフズク Long-eared Owl
大雪のウィンターストーム直前にやって来て、滞在時間たった一日と短かったのですが、ウサギのような長い耳と猫のような顔が印象的な珍しいフクロウ、トラフズク (Long-eared Owl) もセントラルパークにやって来ました。アメリカフクロウやアメリカワシミミズクと比べるとだいぶ小さいですが、アメリカキンメフクロウと比べると大きい、中型のフクロウです。アオカケス (Blue Jay) や、カラスが集団で鳴いたり、接近して来たりと、落ち着かない様子でした。
アメリカオオコノハズク Eastern Screech Owl
アメリカオオコノハズク (Eastern Screech Owl) は、赤とグレイの二種類のタイプがいる小さなフクロウです。アメリカ東部に広く分布し、キンメフクロウのロッキー同様、木の穴などに隠れていて、見つけにくいタイプですが、ニューヨーク周辺にもわりと多く生息しているフクロウです。大きさや目の感じなどは、キンメフクロウと似ていますが、キンメフクロウは羽耳がないのに対して、アメリカオオコナハズクは小さな羽耳があります。直近では、ブロンクスの最北端にある Van Cortlandt Park、ロングアイランドなどで目撃されています。
Starting the year on a high note with this sleepy Eastern screech owl at Massapequa Preserve @BirdQueens pic.twitter.com/CKrsFHLcuU
— Goran Stankovic (@pirke011) January 1, 2021
シロフクロウ Snowy Owl
フクロウといえば、森の中にいる印象がありますが、中には、全然違った場所を主な活動拠点にしているものもあります。そんなフクロウの一つが、ハリーポッターにも登場した、真っ白なシロフクロウ (Snowy Owl) です。オスは、特に真っ白なことが多いようです。主に、北極圏近くなど寒冷エリアに生息していますが、冬にはエサを求めて南下し、ニューヨーク周辺にも訪れます。森ではなく、草原やビーチなど開けた場所を好みます。NYCでは、ロッカウェイビーチなどにやって来ることがあるようです。ここしばらくロングアイランドのジョーンズビーチで目撃されています。
なんと2021年1月27日には、ビーチと間違えたのか、セントラルパークのノースメドウの野球場に登場し、大人気となっていたようです。
Snowy owl in Central Park!!!!! Spent my lunch today (27Jan2021) ogling this beauty with the throng of fellow birding paparazzi. #birdcp #birdnerd #snowyowl #nikonphotography pic.twitter.com/XxWS2flUEW
— EJ Bartolazo (@ejbarto1) January 28, 2021
参考 Snowy Owl
コミミズク Short-eared Owl
短い耳が特徴の中型のフクロウ、コミミズク (Short-eared Owl) も森ではなく、草原や湿地帯など開けた場所に生息し、夜行性ですが、比較的、昼も活発に活動します。人の活動との親和性は低く、個体数は減少傾向で、あまり目撃することの少ないとても稀なフクロウです。
メンフクロウ Barn Owl
メンフクロウは、Barn Owl という名前にあるように納屋など建物付近で暮らし、人の活動との親和性が高く、世界で最も広範囲に生息している中型のフクロウです。ハート型のお面をかぶったような面白い顔をしていて、家屋近くのネズミを駆除してくれる、ありがたいフクロウとしても知られています。警戒心が強く、日中は人目につく場所にいないことが多いため、ほとんど見かけることがありせんが、実は、側に潜んでいるフクロウかもしれません。以前には、ブロンクスのニューヨーク植物園などで目撃されたことがあるようです。
参考 Barn Owl
それぞれのフクロウの性質については、ニューヨーク州が作成しているこちらの可愛いイラストが印象的なパンプレット (PDF) でも紹介されています。鳥をはじめ野生動物の写真や鳴き声などを調べるには、コーネル大学の Macaulay Library が膨大なコレクションを誇っています。
ニューヨークとフクロウ
フクロウといえば、古代エジプトやメソポタミア文明、世界各地の神話や伝承に登場する、遥か昔から人々の心を捉えてきた神秘的な動物です。ニューヨークでは、フクロウは、北からエサを求めて移動してくる秋から冬にかけて見られることが多く、ホリデーシーズンのデコレーションでもよく登場します。日本の俳句でも、梟は冬の季語にもなっています。
メイシーズでは、ホリデーシーズンの飾りの中にフクロウが登場していました。
フクロウもよくやって来るセントラルパークのベセスダテラスには、動植物をはじめ自然をモチーフとした彫刻によるデコレーションがありますが、フクロウが描かれものもあります。
ニューヨークでは、街中にも色々な場所にフクロウの像が飾られたりしています。ニューヨークのフクロウ像で最もよく知られているのが、メイシーズのすぐ側で、エンパイアステートビルにも近い、ヘラルドスクエアです。
ヘラルドスクエアは、かつてニューヨークの大きな新聞社、ニューヨークヘラルドの本社があったところです。創業者の息子である二代目オーナーは、フクロウ好きだったようで、本社ビルには、26羽ものフクロウが飾られていたそうです。その後、ビルは取り壊されましたが、当時のフクロウの彫刻が移植され、現在もヘラルドスクエアの広場に5羽飾られています。
印象深い顔立ちと姿、振る舞いや鳴き声のフクロウ。昼はのんびりしていて夜になると動き出すなど、今年初めて、知ったことも多く、野生のフクロウを近くから見ることができた貴重な年でした。フクロウはやはり、とても惹きつけられる神秘的な動物で、古代ギリシアやローマでは、フクロウは、アテネやミネルヴァと共に知恵の象徴として善の存在として描かれていたり、その反面、異なる文化では、魔法使いや、死の象徴など悪の存在として描かれることもあったりとその見方が極端に分かれる存在ですが、大昔から人々の心を捉えてきたことが想像できます。
ニューヨークのアップタウンにある名門大学、コロンビア大学のシンボル、古代ローマのミネルヴァが描かれたアルママター像の背後のスカートの中には、なんと フクロウが隠れています。
まだまだウィズコロナが続き、アフリカのサファリやガラパゴス諸島などへ野生動物の旅をしにいくことは叶いませんが、近場でバードウォッチングを楽しむ人も増えていて、ニューヨークでも楽しめます。フクロウも含め、NYC の野鳥情報は、それぞれの地域毎に、Manhattan Bird Alert や #birdcp、Bronx Brid Alert、Brooklyn Bird Alert、Queens & Long Island Bird Alert などを参考にしてみるのもおすすめです。