メトロポリタン美術館 西洋美術徹底ガイド 印象派 西洋絵画の有名代表作品 見どころを詳しく紹介!

ニューヨークのメトロポリタン美術館は、丸一日かけても、その全てを見て回ることが難しい巨大なアートミュージアムです。世界の様々な時代、地域、分野のアートや歴史的な遺品が展示されていて、様々な見どころがありますが、中でも最大のギャラリースペースを誇り、メトロポリタン美術館のハイライトとなっているのが、13世紀から20世紀初頭にかけてのヨーロッパの絵画です。メトロポリタン美術館には、モネ、ゴッホ、ピカソ、ルーベンス、レンブラント、フェルメール、ラファエロをはじめ西洋美術史上欠かせない巨匠たちの見逃せない有名作品が目白押しです。たくさんある有名作品の中から、メトロポリタン美術館の西洋絵画ギャラリーにおける見どころと、有名作品、回り方など、西洋アートの楽しみ方を詳しく紹介します。



メトロポリタン美術館の西洋美術ギャラリー

メトロポリタン美術館では、13世紀頃以降から20世紀初頭にかけての古典西洋美術の作品は、主に、2階正面奥、2階正面左手の2ヵ所で展示されています。(地図は下へ)
2階正面奥のギャラリーは、2018年から Skylights project と呼ばれるリノベーションが行われてきましたが、ついに 2023年11月20日から、メトロポリタン美術館の誇る古典西洋美術の名画ギャラリーがリオープンしました。一新された西洋美術ギャラリーは、自然光が射し込み、とても綺麗で、より明るく作品が見やすくなっています。

西洋アートギャラリーも含めて、メトロポリタン美術館の全体の見どころを、メトロポリタン美術館 見どころ完全攻略法 でも紹介していますが、今回は、メトロポリタン美術館の中でも特に有名作品が多い、西洋絵画ギャラリーに絞ってさらに詳しく紹介します。

2階正面のギャラリーは、ルネサンス期から18世紀末までの西洋アート、2階正面左手は、印象派をはじめ19世紀から20世紀初期にかけての西洋絵画が展示されています。2階正面奥のギャラリーは、大まかに分けると、左手前が、ルネサンスと北方ルネサンス、左奥が、レンブラントやフェルメールをはじめとした17世紀オランダ黄金時代、右奥が、ベラスケス、ゴヤをはじめとしたスペイン絵画、右手前が18世紀前後のフランス、イギリス絵画となっています。一部、モダンアートや現代アートの作品も古典西洋美術の作品に混じって展示されています。

メトロポリタン美術館では、常設展の他、様々な特別展が開催されています。
西洋美術では、現在は、マネ・ドガの特別展が2階の特別展ギャラリーにて開催中です。また、マティスと André Derain のフォービスム (Fauvism) の特別展が、1階正面奥の地下の特別展ギャラリーで開催されています。

メトロポリタン美術館 マネ ドガ Manet/Degas 特別展 オルセー美術館の有名作品オリンピアも登場!

メトロポリタン美術館 西洋美術ハイライトを紹介!

ラファエロ

2階正面奥の (Gallery 609) には、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ、ルネサンスの最盛期の著名アーティストとして知られる、ラファエロ (Raffaello Sanzio) の 1504年頃の巨大な木製パネルに描かれた作品、Madonna and Child Enthroned with Saints があります。こちらは、かつて、金融王と呼ばれた J.P. Morgan が所有していた作品です。その横には、ラファエロの小さな作品、The Agony in the Garden も展示されています。


Metropolitan Museum of Art (44)

レンブラント

レンブラント、フェルメールをはじめ17世紀オランダ黄金時代の絵画は、2階正面奥のギャラリーの左奥エリアに展示されています。自画像をはじめ、オランダの巨匠、レンブラントの数多くの作品は、(Gallery 616) に展示されています。

Metropolitan Museum (25)



フェルメール

17世紀オランダ絵画で、レンブラントと並び、人気が高いのが、フェルメール (Johannes Vermeer) です。フェルメールの作品は、(Gallery 614)で展示されています。メトロポリタン美術館には、なんとフェルメールの作品が5点もあり、横一列に並んで展示されています。

→ メトロポリタン美術館 フェルメールの全5作品

Metropolitan Museum (8)

この他、周辺のギャラリーでは、メトロポリタン美術館のオランダ黄金時代の絵画特別展 でも登場していた、フランス・ハルス (Frans Hals)、ヤン・ステーン (Jan Steen) ら 17世紀のオランダで活躍した著名アーティストの作品が色々展示されています。

2階正面

ブリューゲル

続いて、メトロポリタン美術館の2階正面のギャラリーでは、13-18世紀の西洋絵画が展示されています。中でも有名なのが Gallery 613 にある、北方ルネサンスの流れを汲み、後のフランダースやオランダ絵画にも影響を与えた、ブリューゲル (Pieter Bruegel the Elder) の 1565年の作品 “The Harvesters” です。農夫たちが収穫する姿を描いた作品で、この時代の典型的なモチーフである宗教や肖像画とは異なり、ごく普通の人々の何気ない日常を周囲の景観と一緒に生き生きと描いた作品です。

Metropolitan Museum of Art (25)

ルーベンス

フランダース出身で、外交官でもあり、スペインやイギリスなど各国の王家にも重用されたのが、ルーベンス (Peter Paul Rubens) です。ルーベンスといえば、宗教画、肖像画、神話などをよく描きましたが、こちらは、ルーベンス自身の家族を描いている珍しい1635年の作品、Rubens, His Wife Helena Fourment (1614–1673), and Their Son Frans (1633–1678) です。ペアで展示されることが多い、ルーベンスの工房で働いていた、アンソニー・ヴァン・ダイク (Anthony Van Dyke) の作品と共に Gallery 618Gallery 621 で展示されています。


Metropolitan Museum of Art (49)

モネ

2階正面左手にある、19世紀から20世紀初頭にかけての作品が展示されているギャラリーは、フランスのアートを中心とした展示で、印象派の作品などもある人気のギャラリーです。印象派を代表するアーティスト、クロード・モネ (Claude Monet) の作品も数多く展示されています。こちらは Gallery 819 にある睡蓮の池にかかる日本橋を描いた 1899年の作品、Bridge over a Pond of Water Lilies です。


Metropolitan Museum of Art (21)



ルノワール

モネと並ぶ、印象派の代表的存在のアーティスト、ルノワール (Renoir) 。Gallery 824 にある 1878年に描かれ、サロンに出展された、ルノワールにしては少しかしこまった感じの「ジョルジュ・シャルパンティエ夫人と子供たち」(“Madame Georges Charpentier and Her Children” 2人の娘を描いた作品をはじめ、いくつものルノワールの作品が展示されています。モネ、ルノワールの他、ドガ、マネ、セザンヌ、カイユボット、ピサロ、シスレーなど印象派アーティストの様々な作品も展示されています。

Metropolitan Museum (25)

ゴッホ

メトロポリタン美術館には、ゴッホ (Vincent van Gogh) の素晴らしい作品が数多くありますが、中でも有名なゴッホの作品が Gallery 825 にある 1887年に描かれた「ゴッホの自画像」です。ゴッホの様々な作品も一緒に展示されています。

Metropolitan Museum (27)

ピカソ

モダンアートを代表するアーティスト、ピカソ (Pablo Picasso) の20世紀初頭の若い頃の作品もあります。
こちらの作品は、ピカソの「役者」”l’Acteur (The Actor)” です。ピカソの青の時代が終わり、バラ色の時代がスタートした頃の1904–05年に描かれた作品で、古典西洋美術に混じって、Gallery 619 にあります。ピカソの作品は、この他「ラパン・アジルにて」(“At the Lapin Agile” (Au Lapin Agile)) などいくつかの作品が、19世紀絵画のギャラリーで展示されている他、ピカソ後期の作品は、1階のモダンアートのギャラリーでも展示されています。


Metropolitan Museum of Art (16)

メトロポリタン美術館 その他の西洋絵画 有名作品

メトロポリタン美術館では、13世紀頃、ゴシック期のシエナ派の作品や14-16世紀頃のルネサンス期の作品から20世紀以降の近現代アートまで幅広い作品が展示されています。20世紀初頭以降の近現代アートは、西洋アートとは別のギャラリーで展示されています。ここでは、その区分に倣い、20世紀初頭までの西洋絵画の有名作品を紹介します。

ドッチオ

2階正面奥の18世紀以前の西洋絵画ギャラリーには、メトロポリタン美術館の中でも、最も古い絵画作品が展示されています。そんな絵画の代表が、ルネサンス以前に隆盛だった、シエナ派の代表、ドッチオ (Duccio di Buoninsegna) の聖母子像、”Madonna and Child” です。Gallery 635 にあります。なんと13世紀末頃に描かれたという作品で、ビザンチンアート風の金ぴかな背景が印象的です。シエナ派は、ゴシック期の教会に似合う、装飾性の高い宗教的作品で知られています。


Metropolitan Museum of Art (23)

ベリーニ Giovanni Bellini

ルネサンス期以降、著名アーティストを数多く輩出したベネチア派の初期の代表的アーティストが、ベリーニ (Giovanni Bellini) です。こちらは Gallery 606 にある、15世紀後期の聖母子像の作品、”Madonna and Child” です。


Metropolitan Museum of Art (40)

ファン・エイク Jan van Eyck

15世紀前半に、現在のベルギー、フランダース地方で活躍し、北方ルネサンスの代表的アーティストだったのが、ヤン・ファン・エイク (Jan van Eyck) です。こちらは Gallery 605 にある、ヤン・ファン・エイク の1440–41年の2枚パネルの作品 “The Crucifixion; The Last Judgment” です。背景、細部までとても精密に描かれている作風で、後のオランダ絵画に大きな影響を与えたアーティストです。

Metropolitan Museum of Art (43)

アルブレヒト・デューラー Albrecht Dürer

北方ルネサンスにおいて、ドイツで活躍した著名なアーティストが、アルブレヒト・デューラー (Albrecht Dürer) です。アルブレヒト・デューラーは、イタリアを訪問したことがあり、ダヴィンチら当時のイタリアの著名アーティスト達との交友もあったようで、お互い影響を与え合った他、後のアーティスト達にも大きな影響を与えた人物です。こちらは、Gallery 607 にある、アルブレヒト・デューラー (Albrecht Dürer) が、1505年頃に描いた未完の作品、サルバトール・ムンディ (Salvator Mundi)(救世主)です。
Salvator Mundi と言えば、現在、行方不明中の、ダヴィンチのものとされる、史上最高額で落札された作品 が、思い浮かびますが、イタリアでよく描かれたモチーフで、キリストが右手を上げ、祝福している姿の作品です。ダヴィンチの作品などを見て、描いてみたものかもしれません。

Metropolitan Museum (52)

ヨアヒム・パティニール Joachim Patinir

こちらは、Gallery 613 にある、フランダース地方で活躍した、風景画で知られるアーティスト、ヨアヒム・パティニール (Joachim Patinir) の 1512–15年頃の作品「悔悛する聖ヒエロニムス」”The Penitence of Saint Jerome” です。北方ルネサンス派の特徴的な色使いと精密な描き方による、3枚のパネルからなる巨大な風景画です。人物も登場しますが、どちらかと言うと風景が主役の作品を多く描き、風景画というジャンルを切り拓いたアーティストです。


Metropolitan Museum of Art (24)

ロレンツォ・ロット Lorenzo Lotto

2階正面のイタリアのルネサンス期の主な作品が展示されているのが Gallery 608 です。こちらは、ルネサンスの最盛期に活躍したイタリア人アーティスト、ロレンツォ・ロット (Lorenzo Lotto) の 1520年頃の作品「ヴィーナスとキューピッド」”Venus and Cupid” です。

Metropolitan Museum of Art (27)

ブロンズィーノ Bronzino

こちらは、ルネサンスの最盛期にフィレンツェで活躍したアーティスト、アーニョロ・ブロンズィーノ (Agnolo Bronzino) により、1530年代に描かれた若い男性の肖像画「本を持つ若者の肖像」です。Gallery 612 に展示されています。


Metropolitan Museum of Art (28)

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ

こちらは、Giovanni Bellini らからはじまるベネチア派の巨匠の一人、Titian (Tiziano Vecellio ティツィアーノ・ヴェチェッリオ) の1560年代の神話を描いた作品「ヴィーナスとアドニス」”Venus and Adonis” です。世界の有名美術館で定番となっているアーティストです。Gallery 608に展示されています。

Metropolitan Museum of Art (29)

パオロ・ヴェロネーゼ

同じくベネチア派である、パオロ・ヴェロネーゼ (Paolo Veronese) の1570年代の作品「愛によって結ばれたマルスとヴィーナス」”Mars and Venus United by Love” です。マルスは戦争の神様ですが、キューピッドによってヴィーナスと愛で結ばれるという愛の偉大な力を表現したシーンです。ヴェロネーゼの有名な代表作です。Gallery 608に展示されています。


Metropolitan Museum of Art (26)

エル・グレコ

エル・グレコ (El Greco) は、ギリシア出身でイタリアに移り住みましたが、最終的には、スペインで活躍したアーティストです。グレコの作品群は、Gallery 619 にあります。当時としては珍しい風景画で、グレコの風景画作品の中では最高傑作といわれている、グレコが暮らしたトレドを描いた 1596年頃の作品「トレド眺望」”View of Toledo” をはじめ、いくつものグレコの作品が展示されています。ルネサンス期、マネタリズムのアーティストとされていますが、一目で分かる独特な作風のアーティストで、ピカソをはじめモダンアートにも影響を与えたことでも知られています。

Metropolitan Museum of Art (46)



カラバッジョ Caravaggio

ルネサンス期のマネタリズムが衰退し、17世紀に隆盛となったのが、キアロスクーロ(Chiaroscuro)と呼ばれる明暗法などで、ドラマチックに描いたバロックアートです。バロックは、16世紀に誕生したプロテスタントへの対抗のために、カトリックが威厳を誇示するために推奨した様式です。初期バロックの代表的存在が、イタリア人アーティストのカラバッジョ (Caravaggio) です。こちらは Gallery 620 にある、カラバッジョの1610年の作品「聖ペテロの否認」”The Denial of Saint Peter” です。カラバッジョの1597年の音楽隊を描いた作品 “The Musicians” も同じギャラリーに展示されています。

Metropolitan Museum of Art (30)

アンソニー・ヴァン・ダイク

フランダース出身でイギリスで活躍した、アンソニー・ヴァン・ダイク (Anthony van Dyck) の 1633–35年頃の作品、”James Stuart (1612–1655), Duke of Richmond and Lennox”。ルーベンスの工房出身のアーティストで、Gallery 618Gallery 621では、ルーベンスとヴァン・ダイクの作品が数多く展示されています。ヴァン・ダイクは、イギリス王の宮廷アーティストとして活躍し、18世紀イギリスアートの肖像画アーティストたちに大きな影響を与えました。


Metropolitan Museum of Art (37)

ベラスケス

こちらは ルーベンス、ヴァンダイクらと同じギャラリー、Gallery 625 にある、スペイン王の宮廷アーティストでもあったスペイン人画家、ディエゴ・ベラスケス (Diego Velázquez) が、1650年に描いた肖像画です。描かれている人物は、肖像画としては、珍しいアフリカ系の人物、Juan de Pareja で、ベラスケスに属していた奴隷で、工房のアシスタントをつとめていたそうです。後に、Juan de Pareja は、自由民となりアーティストとして活躍したそうです。


Metropolitan Museum of Art (31)

ムリーリョ

バロック後期のスペイン人アーティスト、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ (Bartolomé Estebán Murillo) の1670–72年頃の作品「聖母子」”Virgin and Child” は、Gallery 624 で展示されています。バロック後期の作品ということで、随分優しい雰囲気の作品になっています。


Metropolitan Museum of Art (48)

周辺のギャラリーでは、ベラスケスと同時代に活躍したスペイン人アーティスト、Francisco de Zurbarán らの作品も展示されています。

フランソワ・ブーシェ François Boucher

18世紀前半頃から隆盛となったのが、天使が舞う華やかなイメージのロココ様式です。フランスのロココアートを代表する、Jean-Antoine Watteau、François Boucher、フラゴナールらの作品が展示されているのが、Gallery 631 です。こちらは、フランソワ・ブーシェ (François Boucher) の1751年の作品「ヴィーナスの化粧」”The Toilette of Venus” です。


Metropolitan Museum of Art (38)

ティエポロ

こちらは、イタリアのロココアートの代表的アーティスト、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ (Giovanni Battista Tiepolo) の1752年の作品「天体と大陸の寓話」”Allegory of the Planets and Continents” です。Gallery 643 には、ティエポロの他、18世紀に活躍した写実的な風景画で有名なカナレットらの作品が展示されています。また、2階正面ギャラリーの入口 (Gallery 600) の巨大な作品群もティエポロのものです。


Metropolitan Museum of Art (33)



ゴヤ

ロココからロマン主義への変遷期に活躍したスペイン人アーティストが、フランシスコ・ゴヤ (Francisco Goya) です。こちらは、Gallery 641 にあるゴヤの1787–88年頃の作品 “Manuel Osorio Manrique de Zuñiga” です。”Condesa de Altamira and Her Daughter, María” などゴヤの色々な作品が展示されています。


Metropolitan Museum of Art (32)

▶️  メトロポリタン美術館 ゴヤ特別展 版画作品集 デッサン大集合 Goya’s Graphic Imagination

ジョシュア・レイノルズ & トーマス・ローレンス

18世紀後半から19世紀前半にかけて活躍したイギリス人の肖像画アーティスト、ジョシュア・レイノルズ、トマス・ゲインズバラ、トーマス・ローレンスらの作品は、Gallery 628 で展示されています。こちらの2作品は、右は、ジョシュア・レイノルズ (Sir Joshua Reynolds) の 1782年の作品、Captain George K. H. Coussmaker (1759–1801) です。左は、トーマス・ローレンスの 1790年の作品、Elizabeth Farren (born about 1759, died 1829), Later Countess of Derby です。メトロポリタン美術館150周年記念展 でも展示されていた作品です。

Metropolitan Museum of Art (34)

ジャック=ルイ・ダヴィッド Jacques-Louis David

こちらは、Gallery 634 にある、ルーヴル美術館 にあるナポレオンの戴冠式を描いたアーティストとして知られる19世紀フランスの著名アーティスト、ジャック=ルイ・ダヴィッド (Jacques-Louis David) の 1787年の作品「ソクラテスの死」”The Death of Socrates” です。

Metropolitan Museum of Art (39)

ターナー

19世紀以降の西洋絵画は、2階正面左手のギャラリーで展示されています。19世紀の西洋絵画の中心はフランスで、ほとんどがフランスアートとなっていますが、例外が、ターナー、コンスタブルら19世紀前半のイギリスアートで、Gallery 808 で展示されています。こちらの作品は、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー (Joseph Mallord William Turner) の1835年頃のベニスを描いた作品、”Venice, from the Porch of Madonna della Salute” です。現在、ターナーの作品は展示されていませんが、周辺のギャラリーでは、ロンドンのナショナルギャラリー などでもお馴染みのコンスタブル、Joseph Wright of Derby らの作品が展示されています。

Metropolitan Museum of Art (5)

ドラクロワ

ほぼ19世紀フランスアートの展示となっている2階正面左手のギャラリーでは、オルセー美術館 で展示されているアーティストが中心になっていて、そこに、ルーヴル美術館 で展示されているドラクロワ、Jean-Auguste-Dominique Ingres ら19世紀前半に活躍した著名アーティストの作品も展示されています。こちらは、Gallery 801 にある、ロマン主義アーティスト、ウジェーヌ・ドラクロワ (Eugène Delacroix) の1846年の神話をモチーフとした作品 “The Abduction of Rebecca” です。


Metropolitan Museum of Art (46)

メトロポリタン美術館では素晴らしいドラクロワ展も開催されました。

ドラクロワ特別展 メトロポリタン美術館で開催中!19世紀フランスを代表する巨匠の貴重な作品が集結

メトロポリタン美術館では、ドラクロワと同時代に活躍し、後に印象派にも影響を与えた新古典主義アーティスト、カミーユ・コロー (Jean-Baptiste-Camille Corot) の作品も数多く展示されています。

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル Jean Auguste Dominique Ingres

ドラクロワと同時代に活躍した対照的なアーティストが、写実的なアカデミックアートの作風で知られる、ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル (Jean Auguste Dominique Ingres) です。2階にも Jean Auguste Dominique Ingres の作品が展示されていますが、最も有名な作品は、1階の Robert Lehman Gallery の Gallery 957 に飾られている、1851–53年の作品 “Joséphine-Éléonore-Marie-Pauline de Galard de Brassac de Béarn (1825–1860) です。


Metropolitan Museum of Art (45)

ローザ・ボヌール Rosa Bonheur

オルセー美術館の牛の作品が有名な写実的なアカデミックアートのアーティスト、ローザ・ボヌール (Rosa Bonheur)。こちらは Gallery 812 にある、生き生きと馬を描いた、1852–55年の作品「馬の市」”The Horse Fair” です。

Metropolitan Museum of Art (6)



マネ Edouard Manet

メトロポリタン美術館には、エドゥアール・マネ (Edouard Manet) の作品もたくさんあります。こちらは、Gallery 810 にある、闘牛士を描いた、マネの 1860年代の作品群で、特定のモチーフ、描き方が好まれる当時のサロンへのささやかな反抗が感じられます。フォーマルなサロンにも出展していたマネですが、その後、印象派の一人として自由奔放な作品を描いていったアーティストです。

Metropolitan Museum of Art (9)

ギュスターヴ・モロー

こちらは、Gallery 800 にある幻想的な作風のシンボリズムアーティスト、ギュスターヴ・モロー (Gustave Moreau) の 1864年の作品「オイディプスとスフィンクス」 “Oedipus and the Sphinx” です。Gallery 800 は、通路がギャラリーとなっていて、ロダンの彫刻、レイトン卿や Odilon Redon らシンボリズムアーティストの絵画などが展示されています。


Metropolitan Museum of Art (1)

クールベ Gustave Courbet

こちらは、Gallery 811 の、ギュスターヴ・クールベ (Gustave Courbet) の1866年の作品「女とオウム」”Woman with a Parrot”。クールベの作品は、他にも数多く展示されています。

Metropolitan Museum of Art (7)

ジャン=レオン・ジェローム Jean-Léon Gérôme

オリエンタリズムの代表的アーティスト、ジャン=レオン・ジェローム (Jean-Léon Gérôme) の1868–69年の作品「バシボズク」”Bashi-Bazouk” です。Gallery 804 で、展示されています。


Metropolitan Museum of Art (4)

ミレー

こちらは、Gallery 802 にある、落穂拾いで有名なバルビゾン派の代表的アーティスト、ジャン=フランソワ・ミレー (Jean-François Millet) の 1874年頃の作品、”Haystacks: Autumn”。

Metropolitan Museum of Art (3)



ドガ

ドガの作品もたくさんあります。こちらは、Gallery 815 にある、ドガ (Edgar Degas) が、バレエ教室の様子を描いた1874年の作品 “The Dance Class” です。現在は、メトロポリタン美術館150周年記念展のギャラリーに場所を変え、展示されています。この他、ピサロ、シスレー、カイユボット、Berthe Morisot ら印象派の代表的アーティストも網羅されています。パリの印象派展に出展していたアメリカ人アーティスト、Mary Cassatt の作品は、アメリカンアートのセクションで展示されています。


Metropolitan Museum of Art (8)

セザンヌ

こちらは、Gallery 826 にある、セザンヌ (Paul Cézanne) の1893–94年の静物画 “Still Life with a Ginger Jar and Eggplants” です。セザンヌとゴッホの他、ゴーギャン、ルソー、スーラ、シニャックらポスト印象派アーティストの作品もあります。

Metropolitan Museum of Art (18)

マティス

こちらは、アンリ・マティス (Henri Matisse) の1912年の作品 “Nasturtiums with the Painting “Dance” I” です。マティスは、ピカソと並び、20世紀を代表するアーティストの一人です。ピカソ同様、マティスの作品は、1階の現代アートのギャラリーにも展示されています。マティスは、独特な色使いで知られる 野獣派 (fauvism) の代表的なアーティストの一人として知られています。
現在は、フォーヴィスムの特別展、Vertigo of Color: Matisse, Derain, and the Origins of Fauvism が、1階正面奥地下の特別展ギャラリーで開催されており、André Derain らの作品と共にマティスの様々な作品が展示されています。


Metropolitan Museum of Art (17)

ボナール

こちらは、Gallery 828 にある、ボナール後期、1939年の作品 “The Terrace at Vernonnet”。ボナールらしい色使いとタッチで、幻想的な雰囲気に描かれています。ボナールとペアで展示されることが多い、Édouard Vuillard の作品もあります。

Metropolitan Museum of Art (13)

クリムト

フランス、イギリス以外のアーティストの作品もいくつか展示されています。こちらは Gallery 829 にある、オーストリア人アーティスト、クリムト (Gustav Klimt) の1912-13年の作品 “Mäda Primavesi” (1903–2000)。


Metropolitan Museum (3)

このような感じでメトロポリタン美術館にはびっくりするほど素晴らしい有名作品がたくさん揃っています。
今回紹介した、西洋アートの有名作品はメトロポリタン美術館の見どころのほんの一部です。メトロポリタン美術館には、まだまだ見るべき傑作作品がたくさんあります。
メトロポリタン美術館への行き方と入場料、メトロポリタン美術館全体の有名作品などは以下記事もご覧ください。

メトロポリタン美術館 ミュージアム見どころ完全攻略法

今週末1月7日まで、マネとドガの特別展が開催されているので、是非見てみたいという人は、急ぎましょう。

メトロポリタン美術館 マネ ドガ Manet/Degas 特別展 オルセー美術館の有名作品オリンピアも登場!

ニューヨーク旅行ディスカウントチケットセール情報 と合わせて、
おすすめの見どころ特集もどうぞ!

ニューヨーク観光グルメおすすめ人気スポット33選 2023年 NY最新見どころ徹底紹介!

ニューヨークの最新情報を色々発信しています。
フォローして頂ければ最新の更新情報が送られます。
Youtubeチャンネル → こちら
インスタ → こちら
Facebook → こちら
Twitter → こちら

メトロポリタン美術館 西洋美術徹底ガイド 印象派 西洋絵画の有名代表作品 見どころを詳しく紹介! was last modified: 1月 5th, 2024 by mikissh